2022年4月29日金曜日

大機小機

「日本銀行は政府の一部だから、国債をいくら引き受けても問題はないとの幼稚な議論が与党内でまかり通っている。それはデフレやゼロ金利が恒常化するという前提で、はじめて成り立つものだ。世界的な金利上昇の圧力で、日銀が際限なく国債を引き受けて金利上昇を防ぐ『財政ファイナンス』の弊害が、円安加速の形で顕在化している。」

2022年4月28日木曜日

日本近現代史(季武嘉也先生よりご回答)

質問:福沢諭吉は、「太平無事の天下に、政治上の喧嘩をして居ると云ふ。サア分からない。コリャ大変なことだ」と「福翁自伝」で述べていますが、大久保利通が明治天皇に対して、政治は「天下万民ご尤も」と思われるようでなければならない、と語ったと述べています。日本近現代史の初学者としては、明治というと、つい明治天皇が絶対的な権威であり、その権威の御旗のもとで、具体的な一般意志が成立していたように考えがちですが、「日本近現代史」の授業を受けていると、実際には民意を吸い上げる政党があり、また、必ずしも明治維新以後すぐに日本が富国強兵に邁進したとは一面的に言えない様相が確認されます。これはまさに、福沢諭吉が述べたように、明治日本の方向性が一方向に邁進したというよりは、多元的な方向性の中で、相反する政論を、苦心しながら政党政治にまとめ上げる、という難事業を行っていた、と言えると思われます。 そうであるならば、我々が現代から振り返って、明治の時代は、明治天皇の絶対性に基づいて、具体的な一般意志を実現していた、というのは、フィクションであるのではないか?とも思われるのです。 松本清張の「象徴の設計」によれば、山県有朋が、軍人勅諭によって天皇の権威を絶対のものとして、軍人を訓育するのに腐心する様が描かれていますが、明治天皇による軍事演習の総覧や、鉄道による行幸などの空間的、時間的な支配による権威付けが、再帰的に明治天皇に権威を付与していた側面もあるのではないでしょうか? それは、日清戦争、日露戦争に勝利した後、特に日露戦争での夥しい数の死者に対する、国民の負債観念や、明治天皇崩御に際しての乃木希典の自刃、また、夏目漱石の「こころ」における「明治という時代に殉死」する、という言葉にあるように、むしろ明治天皇の権威は、崩御の後になってから追憶の呪縛として高められた、という側面があると思われるのですが、この点についてお考えをお聞かせいただければ幸いです。 回答:ご質問ありがとうございます。まず、福沢が言っていることは、政治の方向性を決めるために「議論」し「多数決」をすることに驚いた、ということです。ご質問の中で「一般意志」という言葉がありますが、当時の日本人には「議論」「多数決」で「一般意志」を決めることが理解できなかったということです。 次に、明治時代が明治天皇の絶対性に基づいて「一般意志」が存在したかということですが、存在の有無というよりも、山県をはじめとして政府要人には実現したいという強い意志があったということだと思います。では、具体的にどの程度実現したかといえば、確かに日清・日露戦争の勝利によって相当に成功したと言えると思います。ただ、逆に明治末になると石川啄木のように、寧ろそれを息苦しく感じる人々も登場し、「脱明治」的方向も始まります。「大正デモクラシー」的傾向もこれに該当します。さらに、昭和初期の世界恐慌の時代に入ると、日露戦争の勝利やおびただしい犠牲者数が叫ばれるようになり、再び強い明治への憧憬が高まるようです。 ということで、私も概ねご質問の趣旨と同意見です。

知床遊覧船事故

遺族からすれば噴飯ものだろうが、この事故に関しても、マスコミの報道は、「叩いていい人」を炙り出そうとしているようにしか見えないがな。報道すること自体には相当の意義があるとは思うが、バカな日本人の行動としては、国民総出のバッシング、リンチ、いじめにしかならないと予想される。こういう報道はさ、最低限にして、あとは裁判所に任せればいいじゃん。第二の飯塚幸三にしたいわけ?あえて知床遊覧船の会社の社長の立場に立てば、ただでさえコロナ禍で観光客が減っていたところもあって、ゴールデンウィークを前にして本格的に挽回したい、という思惑もあっただろうし、4月というおそらく荒れやすい天候だったとはいえ、気候変動による天候の判断の難しい側面もあったかもしれない。そのなかで、多少強引にいってしまった面もあるだろう。いずれにせよ、彼はこの先世間からのバッシングのみならず、経済的にもお先真っ暗といったところだろう。彼だって辛い立場なのだ。いい加減、魔女狩りは止めたらどうか?

政治とは、対立。

岸田首相が、原発再稼働に前向きな発言したらしいけど、貿易赤字の大きな要因の一つが、円安と原油価格高騰によるものであることを考えれば、極めて有効な手段ではある。原発立地県でない人間が、原発を再稼働させろ、というのは、確かに原発立地県の人の心境をわかってないとは思うけど、貿易赤字を縮小させることは、全体として国益に非常に適う。これこそ、具体的な一般意志が成り立たない典型例だろう。結局、政治とは、対立である。対立でありながら、議論を通して落とし所を探っていく他ない。全員が納得できる解はなくとも、議論そのものをタブー視してはいけない。国の財政負担の最大の要因である社会保障費についても、ずっと昔から言われ続けてきたが、小泉政権で何をやったのか、その当時興味もなかったし、当然経済学の知識もなかったからよく知らないが、何やら社会保障費を削る策を講じたことらしいことは知っている。しかし、結局は、社会保障費の膨張に根本的な解決策は見いだせていない。例えば、デフレだからマクロ経済スライドを適用して、年金を減額でもしようものなら、年金受給者から猛批判を浴びる。医療の既得権益を削ろうとして、病院新規開設を促進しようとしても、日本医師会から抵抗にあう。それこそ既得権といえばその通りだが、そんなこと言ったら、年金を受給してる高齢者はみんな既得権益者だ。かといって強引に社会保障費を削る、なんてことをしたら、それこそ生きていけない人が巷にあふれるだろう。それに比べれば、貿易赤字の緩和は、抜本的な解決策とは言えないにしろ、まだ選択の余地のある課題だ。尤も、日本は「成熟した債権国」になりつつあるので、貿易赤字で稼ぐ段階ではもはやないのだが。

2022年4月27日水曜日

今朝の日経

海外勢が、円売り・ドル買いと日本国債売りを組み合わせたポジションを膨らませている。日銀にYCC(イールドカーブ・コントロール)を放棄させるのが狙い。日銀は長期金利を抑え込むために、今年に入ってから既に指し値オペを3回も実施している。海外勢の売りに対して、日銀はどこまで耐えられるのか?耐えられたとしても、日銀に国債が積み上がって、将来の出口戦略が、ますます難しくなる。また、家計部門に関しても、今までは円高デフレで、円預金が実質ゼロでも安全資産として円を保有していたが、輸入物価の高騰と急激な円安で、円を保有しているより、外貨を保有しているほうが得という発想が出てくる。そうすると、家計部門の国外逃避が一気に起こる可能性もある。日本人は空気で動くから、家計資産の円離れの「空気」が醸成されたとき、雪崩のように家計部門の国外逃避が起こる危険性がある。通貨(円)の購買力が低下すれば、その代償として金利が上がると説明するのがフィッシャー効果だが、金利が低く抑えられている、日本株も低調なら、利回りのいい外貨に円資産が逃避するのは、当然のことだ。

2022年4月26日火曜日

大機小機

日本が巨額の財政赤字を抱えながら、持ちこたえているのは、経常収支黒字国であることと、世界最大の対外純資産を保有していることが大きい、とのこと。経常収支のうちもはや貿易黒字はほとんどなくなり、第一次所得収支頼みになっている。その第一次所得収支も、統計上は円換算して経常収支に計上されるが、実態は海外法人の内部留保であり、日本に送金されることはない。また、世界最大の対外純資産も、簡単に国内に還流できる性質のものではなく、日本の先行きを楽観視できるものではない、とのこと。今回の急速な円安は、そんな実態を反映している。

インスタグラムのアカウント持ってないから、よく知らないけど、自分の写真バンバンネットに挙げるって、ちょっとオッサンからすると理解できないわ。映えてる映えてるとかいって。しかも、実名でしょ?だいたい、自分のキラキラしてる写真なんかネットに挙げたところで、どうせロクなことにならないと思うけど。セールスプロモーションとかならまだ分かるけどね。自分も常識ないと思われてるだろうけど、俺からすれば、テレビで自分の実名、年齢、顔、職業、住んでる部屋まで公開しちゃう人のほうが常識疑わざるを得ない。

conversation in English

俺:As you know, I spent my childhood in Showa era. I believe there was a backdrop which is uncanny and, almost foreboding Japan’s decay even in the midst of economic prosperity. The most famous Manga writer Osamu Tezuka depicts the Zeitgeist especially in his artwork “Phoenix”. The author of Doraemon is alike. As Ryuzo Uchida, professor of Tokyo University is pointing out, Showa era people were bound to feeling of guilty or indebted to the unredeemed dead in the WW2 and Emperor Showa, who enshrines them instead of himself. Contrary to Showa, we are now never bound to any kind of morality at the cost of economic prosperity. I’d like to say the sense of guilty united Japanese people and drove them to economic prosperity.ジョンさん:Highly interesting. Is it a commonly held theory? Japanese were working so hard to recover from the war in honor of the sacred war dead? Were they ashamed to have survived while a million or more died? 俺:Thanks. But this theory is not held commonly. I just assembled this theory, picking up from the particle of 「Kokudoron」by Uchida and 「Anti-Oedipus」by Deleuze and Guattari. But, whoever Japanese spent their lives in Showa share that bad ominous and depressing prospect for the near future I believe. The most acute protest against loss of morality is Yukio Mishima’s Hara-kiri. He strongly detested to the apathy of Japanese seeking for economy and immortality. And, he tried to warn of Japan’s moral decay.ジョンさん:I still think Japanese society has many many more positive aspects than America. America is not the same country of my youth. It has been destroyed by the Left.I no longer recognize my own home nation.俺:I’m surprised you think highly of Japan so much. Traditional lifestyles are almost completely forgotten in Japan likewise. This is a negative aspect of that notorious “Globalization”. Free flux of capital and access to its market is eroding the traditional way of life. Along this, phony image of diversity is prevailing. In Japan, using loyalty to the nation is completely taboo. People don’t know on what basis they live mentally. But, I’m positive on US’s arduous and tenuous works to recognizing each other and bundle society again. The most famous case is Sesame Street. Such effort is far less seen in Japan than in US. And, albeit globalization expanded economic gap, US has been alluring the top notch intelligences and they are making industrial giants. This is one of the most powerful element which is making US the world’s strongest giant.ジョンさん:Do you know the expression “the grass is greener on the other side?” Perhaps that is the case! Still I admire Japan for not completely losing its national identity to globalization unlike USA and Europe. You still don’t have most of the social problems we do. On that issue alone, Japan is far far better than the West. Our cities and schools and borders are crumbling rapidly and Biden ignores it all. I’ll take Japan any day!

2022年4月25日月曜日

自省

一日の終わりに、ゆっくりと振り返る時間は欲しい。メンタルの調子が良くないとき、大抵は何かが足りない、何もかもが足りない、という観念に囚われるものだが、じつは、その逆に、何か余計なことをしようとしていることがほとんど。自分に過剰に期待をしすぎていないか、負荷をかけていないか、慎重に吟味する時間は、どうしても必要。

2022年4月24日日曜日

「強い円」は企業が創る

土曜日の日経9面に上記のタイトルの記事が載っていました。政府の政策に頼るのではなく、日本企業がもっと元気になって、マネーを呼び込む。これはアメリカが実際に行ったことだが、政府はむしろ、財政再建を通して金利を低下させ、マイクロソフトなどのIT企業が勃興することによって、強いドルを実現した。日本もそれに倣うべきだ、との論旨でした。

2022年4月23日土曜日

あー、イラつく

韓国語能力試験(TOPIK2)の過去問買って解いてみたけど、むずい。20年近く韓国語勉強して、中級も取れないのか。情けない。リスニングが問題で、同じ試験で3級から6級(数が増えるほど難関)まで判定するから、そもそも聞き取れない問題は当然あるんだけど、ナレーション全体は聞き取れても、選択肢を読んでるうちに、次の問題のナレーションが始まっちゃって、嫌気がさす。昔そうだったように、中級と高級を分けてほしい。冷静になって同じ問題を解いてみても、設問はほぼ聞き取れても、選択肢が微妙で、考えてる時間が足りない。と、いうか、もっと明確にこれで間違いない!と思わせてくれるような選択肢になってない。TOEICの場合はそれも引っ掛けだったりするんだけど、韓国語能力試験の場合は、微妙すぎる。2級は持ってるけど、実用レベルじゃない。

不公平

テレ朝で、10カウントっていう、見るまでもなくいかにもキムタク的ドラマやってるけど、SMAP解散騒動で叩かれたとはいえ、これだけキャリアのある俳優なんだから、もっと冒険的なドラマやらせてみりゃいーじゃん、と思うけどね。その攻められない姿勢が、日本が成長できない要因と言っても過言ではないと思うんだよ。安倍政権の時に、高市総務相が停波発言したけど、もし本当に停波なんかしから、かえって国際社会から、日本は言論弾圧をしてるって叩かれるのは明白だし、行政争訟で争えば、明らかに違法な行政行為として政府側が負けるのは当然なのに、テレビは萎縮して、黙ってしまった。まあ、もし政府に対して強硬な姿勢を貫けば、政治家からコメント取りにくくなるっていう事情もあるだろうけど、そのフニャチン体質が、日本のメディアの弱いところと言われても、仕方がない。そんなことやってると、ネットフリックスとかに負けちゃうよ?ドラマに話を戻すと、女優は、40超えるとドラマの主役を張れなくなる、なんて言われるけど、それも立派な男女差別。男はネームバリューさえあればいつまでも紋切り型のドラマが用意されてるのに、女優さんで中年になってドラマの主役張ってるなんて、沢口靖子と米倉涼子ぐらいしか知らんわ。ともかく、日本人は、大人も子供も、守りに入り過ぎだと思う。もっと攻めていかないと、社会全体が萎縮してしまう。大学なんかでも、生徒は基本若者しかいないけど、目立つやつを探して、陰口を叩くようなことしかやってない。そんな環境から、革新的なものが産まれるはずがない。

2022年4月21日木曜日

既視感

日本版Qアノンとか、れいわ新選組とか幸福実現党とか見てると、アドルノの言葉を思い出す。「社会全体が体系化され、諸個人が事実上その関数に貶めれられるようになればなるほど、それだけ人間そのものが精神のおかげで創造的なものの属性である絶対的支配なるものをともなった原理として高められることに、慰めをもとめるようになるのである。」(「アドルノ」岩波現代文庫98ページ)「社会全体が体系化され、諸個人が事実上その関数に貶めれられるようになればなるほど」、(疑似)宗教のように、この世の全体を精神的な色彩で説明し、現実生活では一個の歯車でしかない自分が、それとは独立した精神世界のヒエラルキーに組み込まれ、そのヒエラルキーの階層を登っていくことに、救いを感じるようになる。エーリッヒ・フロムによれば、ドイツの中産階級が没落して、さらにプロテスタンティズムのマゾ的心性が、ナチズムのサド的メンタリティーと、サド=マゾ関係を生み出し、人々が「自由から逃走」し、ナチス政権に従順に従ったそうだが、日本も、中産階級が没落し、政治的メシアニズムを待望するようになれば、政治的危機が将来において登場する可能性は十分ある。日本においては、新自由主義的政策により、アトム化した労働者が大量に出現し、景気が悪くなればすぐに生活が困難になるような労働者が増加するにつれ、エーリッヒ・フロムが指摘したような危機的な条件はそろいつつある。「本来性という隠語は、現代生活の疎外を否定するというよりはむしろ、この疎外のいっそう狡猾な現われにほかならないのである。」(「アドルノ」岩波現代文庫 73ページ)グローバリゼーションが後期資本主義における物象化という側面を持っているとすれば、グローバリゼーションによる均質化、画一化が進行するにつれ、反動として民族の本来性といった民族主義的、右翼的、排外主義的な傾向が現れるのは、日本も例外ではない。(以下 静岡大学 森本隆子先生からの私信より) 「本来性」という今やジャーゴン化した隠語が孕む<個>を<全体>へ解消しようとする志向、とりわけ、これとの連関でよりいっそう顕在化してくるグローバリゼーションと並行的に進む民族主義、ナショナリズムを初めとする原理主義の台頭が印象的なコメントでした。 ナチ以降のドイツの戦後社会や東欧の動きは、まさにそのもの――かつ、これらに象徴されるように原理主義的孤立と排他は、皮肉にも文字通り「全球」的に進行しつつあるのでしょうが、わけても日本の場合は、欧米やイスラムとはまた異なる様相の下、他者との摩擦や葛藤を経由することなくソフトに進行してゆくので、いっそう恐ろしいのかもしれませんね。 ふと、村上春樹の『1Q84』でおそらく作者からも読者からも最も愛されているヒロイン「青豆」が憎悪しながら傾倒しているとしか評しようもない「証人会」――明らかに「???の証人」をモデルとした宗教的原理主義のことを想起していました。時代を生きる以上、否応なく巻き込まれざるをえないグローバリゼーションの嵐が強いる均一化に対して、東西を問わず、人はこんな形で抗い、憩いを求めるのだろうか、と。『1Q84』は、明らかに「証人会」への依存と異性愛への依存を重層させ、近代の恋愛が祖型とする所謂<対>なるものへの志向が最たる原理主義の1つの姿ではないか、とその限界を問うているような気がします。 「本来性」とは、まさに「起源」の捏造でもあるわけですね。

敵基地先制攻撃能力

明らかに憲法違反の集団的自衛権も、内閣法制局の人事に介入までしてなし崩しに合法化したように、今回もいつの間にか既成事実の積み重ねで容認されてしまうんだろうか?それはそれで良くも悪くも日本的融通無碍の精神なのかもしれないが、憲法すら骨抜きにするという点で、およそ法治国家とは言えないな。

イエメン内戦

今朝の日経に載ってたけど、サウジアラビアが、後押ししていたイエメンの大統領を、事実上引きずり下ろしたそうです。理由は、サウジアラビアと敵対するイランが支援する、イスラム教フーシ派のミサイルやらドローン攻撃による、サウジアラビアの石油プラントの損害が無視できなくなったから。ロシア産の原油が欧米から締め出されて、石油需給がタイトになっているなかで、サウジアラビアへアメリカから、石油増産の要請もあり、安定的な石油需要は、サウジアラビアにとって望ましい。石油需給の逼迫が、一時的にせよ、世界最悪と言われる人道危機に救いをもたらした。

2022年4月20日水曜日

極論

https://finance.yahoo.co.jp/brokers-hikaku/experts/questions/q13225491543 いま円暴落真っ最中の日本からすれば、MMT理論がいかに無責任なシロモノかよくわかる。リンクの記事の内容自体は凄く良心的だと思うけど。

2022年4月19日火曜日

「世界文学への招待」質問と回答(野崎歓先生超いい人)

質問:「世界文学への招待」の授業を視聴して、アルベール・カミュの「異邦人」と、ミシェル・ウェルベックの「素粒子」を読み終え、いま「地図と領土」の第一部を読み終えたところです。  フランス文学、思想界は、常に時代を牽引するような象徴あるいはモーメンタムを必要としているというような記述を目にしたことがあるような気がしますが、「異邦人」からすると、確かに、「素粒子」が下す時代精神は、「闘争領域」が拡大したというように、現代西欧人には、もはや<性>しか残されておらず、それさえも、科学の進歩によって不必要なものになることが予言され、しかもそれで人間世界は互いの優越を示すために、無為な闘争を避けることができない、というような描写が「素粒子」にはあったと思われます。  「地図と領土」においても、主人公のジェドは、ネオリベラリズムの波によって、消えゆく運命にある在来の職業を絵画に残す活動をしていましたが、日本の百貨店が東南アジア、特に資本主義にとって望ましい人口動態を有するフィリピンに進出する計画がありますが、そのように、ある種の文化帝国主義を、ウェルベックは、グローバリゼーションを意識しながら作品を書いているのでしょうか? 回答:このたびは授業を視聴し、作品を読んだうえで的確なご質問を頂戴しまことにありがとうございます。フランス文学・思想における「時代を牽引するような象徴あるいはモーメンタム」の存在について、ご指摘のとおりだと思います。小説のほうでは現在、ウエルベックをその有力な発信者(の一人)とみなすことができるでしょう。 彼の作品では、「闘争領域の拡大」の時代における最後の人間的な絆として「性」を重視しながら、それすら遺伝子操作的なテクノロジーによって無化されるのではないかとのヴィジョンが描かれていることも、ご指摘のとおりです。 そこでご質問の、彼が「グローバリゼーション」をどこまで意識しながら書いているのかという点ですが、まさしくその問題はウエルベックが現代社会を経済的メカニズムの観点から考察する際、鍵となっている部分だと考えられます。アジアに対する欧米側の「文化帝国主義」に関しては、小説「プラットフォーム」において、セックス観光といういささか露骨な題材をとおして炙り出されていました。また近作「セロトニン」においては、EUの農業経済政策が、フランスの在来の農業を圧迫し、農家を孤立させ絶望においやっている現状が鋭く指摘されています。その他の時事的な文章・発言においても、ヨーロッパにおけるグローバリズムと言うべきEU経済戦略のもたらすひずみと地場産業の危機は、ウエルベックにとって一つの固定観念とさえ言えるほど、しばしば繰り返されています。 つまり、ウエルベックは「グローバリゼーション」が伝統的な経済・産業活動にもたらすネガティヴな影響にきわめて敏感であり、そこにもまた「闘争領域の拡大」(ご存じのとおり、これはそもそも、現代的な個人社会における性的機会の不平等化をさす言葉だったわけですが)の脅威を見出していると言っていいでしょう。なお、「セロトニン」で描かれる、追いつめられたフランスの伝統的農業経営者たちの反乱、蜂起が「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)」運動を予言・予告するものだと評判になったことを、付記しておきます。 以上、ご質問に感謝しつつ、ご参考までお答え申し上げます。

1ドル128円突破

https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/20220414-00056596-president-columnだって。安倍と黒田にふつふつと怒りが湧き上がってくる。

逆パワハラ

テレビでやってた。上司だろうが先輩だろうが、構わずマウント取ってくるバカがいるんだね。SFCにいたし、塾にもいたよ。幼稚園児のガキのくせに、喧嘩売ってくるバカが。なんだろうね、イジメが荒れ狂う環境を生き抜くには、そういう戦略が有効なのかな?でも、俺はそんな馬鹿どもとはもう一切関わりたくない。メンタルによろしくない。新入生のくせに、いきなり、生理的に合わないとか平気で言ってくるやつとか。SFC限定ならまだしも、それが日本の至るところにいるなんてことになったら、俺はもう日本では働けない。こんな国はもう、一度滅びたほうがいい。遠からずそうなるだろうけど。自分たちにも責任の一端があって、連日報道されるイジメ問題に、ふーん、とばかりに、大人として何もしてこなかったツケという側面もあるかもね。

2022年4月17日日曜日

今朝の日経

10年で長短の国債残高が280兆円増えたのに金利が上がらなかったのは、日銀が国債保有を460兆円積み増して吸収したからだ。「日銀の金融政策は事実上、政府債務の穴埋めに組み込まれた」(東短リサーチの加藤出社長)結局、事実上の財政ファイナンスだったんじゃねーか!!!(# ゚Д゚)それで円安スパイラルにハマってりゃ世話ねーな!オイ!

読了

「地図と領土」(ちくま文庫)読み終えた。全体的に落ち着いた雰囲気で、完成度も高い。フランス文学界最高の栄誉であるゴンクール賞を受賞するのも、頷ける。不惑男が、初老への心構えとして読むにはいいかな。

昨日の日経

こんな記事が載ってました。ある日銀関係者は「為替防衛のために利上げするなら米国並みに上げないと効果はなく、そのペースで利上げしたら財政が破綻し円安が止まらなくなる」と話す。こんなんじゃ働く意欲なんか湧きようがない。昨日久しぶりにフットサルしてきました。運動不足解消はもちろんのこと、本読むときとは目の使い方が違うから、眼にもいい気がする。いい1日だった。

2022年4月15日金曜日

覚え書き

「いずれにしろ、いまの時代は何もかもが市場での成功によって正当化され、認められて、それがあらゆる理論に取って代わるというところまで来ている。」地図と領土(ちくま文庫)219ページ

地図と領土

ミシェル・ウェルベック2冊目。「素粒子」に比べれば、遥かに(性的描写に関して)ノーマルなストーリー。もうすぐ第一部を読み終わるところ。しかし、「素粒子」でもそうだったけど、ウェルベックは中盤から一気に加速するので、これからどう展開していくのか楽しみ。野崎歓先生の訳が軽妙で、さくさく読めてしまうのは変わらず。

2022年4月13日水曜日

為替レート

ドル円126円突破しちゃったね。どこまで円安が進むんだか。実質実効為替レートでも、1970年代のレベルまで下がってるらしいし。知らんわ。俺がどうこう出来る問題じゃない。当たり前だけど。原油高のほうも、中東の産油国は、長期的に安定的な需要を望んでるんであって、意識高い系の陣営が脱炭素の方針で、彼らに新規投資しないようじゃ、一時的な需給逼迫を緩和させるために、新たに石油プラントを建設するつもりはない。維持コストもかかるし。むしろ、意識高い系の陣営が、脱炭素に舵を切ることによって、中東の産油国がロシアと手を結ぶ可能性もある。それはともかく、日本について言えば、円安、原油高で、貿易赤字がかさんで、通年で経常赤字になったら、かなりまずいことになるんじゃないか?新規国債を海外資本に買ってもらう必要から、国債の利回りが上昇することになるからね。バカ黒田の超金融緩和のせいで、政府の財政規律もユルユルになって、1%国債の利回りが上昇しただけで、国債の利払い費だけで6兆円も負担増になるんだから。最近じゃ、ひそかに量的緩和を縮小してたのに、ここへ来て、金利を抑圧するために、日銀はまた国債購入額を増やしているらしい。もうどうしょもないね。それはそうと、自分はこんな楽ちん生活をしていていいんだろうか?普通に働いてるほうが、正直気が楽な気もするけど、ちょっと目先の日本経済の動向からすると、下手に動かないほうが賢明というか、どうせ働いたところで、大して変わらないと思う。障害年金もらってるし、ヘルパーさんも来てくれるし。障碍者というのも、立派な身分だ。

読了

「素粒子」読み終えた。2日で読めたね。中盤までひたすら猥談を繰り広げて、この本は一体なにをどうしたいんだろう?と思いつつ、なぜか面白いからどんどん読んじゃったけど、終盤になって急にシリアスになって、しかもそれまでの猥談を伏線として、すべてではないかもしれないけど、回収して、壮大なスケールのSF作品でもあり、西欧文明、あるいは人間の営み全体そのものへの弔辞でもあるような、とにかく凄い本だった。これは事件です。

2022年4月11日月曜日

「近現代ヨーロッパの歴史」質問と回答

質問:いわゆる人権宣言のなかで、経済活動の自由化とともに、ギルドなどの中間団体(社団)の廃止の改革が矢継ぎ早に実施された、とあるのですが、これは、当時のイギリスに対抗する措置として捉えればよろしいのでしょうか?ギルドというのは、それほどまでに、当時、非効率・閉鎖的で、かつ政治権力も有していたということでしょか?それをイギリスに対抗すべく、近代的な大量生産体制へと変貌させようという意図があったと考えてよろしいのでしょうか? 回答:フランス革命中の1791年3月に制定されたアラルド法により同業組合が禁止され、同年6月のル=シャプリエ法により組合組織の結成やストライキが禁止されました。これらの法令は、個人間の自由な契約のみが社会の基礎であり、個人の自由を束縛する社団は廃止されるべきであるという考え方に基づくものです。その意味で、社団(中間団体)の廃止は、貴族制の廃止(身分制の廃止)と同列のものでした(山崎耕一『フランス革命』刀水書房、2018年、92~93頁参照)。したがって、これらの法令はイギリスに対する対抗というよりは、フランス革命の理念そのものに基づくものであったと考えた方がよいでしょう。また、革命直前のギルドが閉鎖的で非効率なものとなっていたことはあるとしても、それほど大きな政治権力をもっていたとは言えません。さらに、ギルドの廃止によって「近代的な大量生産体制に変貌」させるという意図があったとは言えないでしょう。

素粒子

ミシェル・ウェルベックの文庫本を読み始めました。野崎歓先生の訳で、リズム感がよくて読みやすい。ただ、何を言いたいのかは、今のところ全くわからない。しかし、何か物凄いスケールの大きさを予感させる。トマス・ピンチョンほど荒唐無稽ではなく、読んでいて苦にならない。分量的にも、超大変ってわけじゃない。

2022年4月10日日曜日

ヤバイね

昨日の日経1面によると、円安と原油高で、日本が通年で経常収支赤字に転落する可能性が出てきたらしい。過去最大の400兆円の対外純資産を保有する国が経常赤字に転落すると何が起こるのか。正直見ものです。

2022年4月8日金曜日

経常赤字より「日本売り」回避を

日経9面に、バークレイズ証券調査部長の山川哲史氏が寄稿していました。国際収支発展段階説に従えば、日本がアメリカのような「成熟した債権国」に至る可能性が高いので、民間の貯蓄が政府の赤字をファイナンスする構図が崩れた時の「日本売り」が起きる可能性は頭に入れつつ、経常収支赤字を過度に恐れるよりも、経常収支が黒字のうちに、安定的な資本流入促進を通じて「日本売り」を抑制しうる環境を整えていくことが重要、とのこと。

2022年4月7日木曜日

錦鯉

ラインポコポコのCMの「頭使うのキャラじゃねーんだよ。」というセリフ、なんとか英語に出来ないか、deepl翻訳使って試行錯誤した結果、こんな感じになりました。 You are not more of a character than play this intelligent game. (こんな知的なゲームをやるより、キャラが立ってない。)

2022年4月6日水曜日

服従

「世界文学への招待」第2回が、ミシェル・ウェルベックの「服従」と、ブアレス・サンサールの「ドイツ人の村」で、「服従」のほうは、一応アマゾンで書評をよく読んで、トップの書評が、ボロクソの評価だったから、どうしようかかなり迷ったんだけど、野崎歓先生の評価が高くて、kindleで買えたし、そんなに高くもなかったから買ってみたけど、俺にはわからんかった。書評が評するように、ひたすら下半身事情が書かれ、まさかこれで終わるわけないよね?と思って我慢して読んだら、ほんとに終わった、とあったので、最初のほうを読んでいて、視力を犠牲にしながら最後まで読んで拍子抜け、てのはさすがにキツイと思って、読むのやめた。

2022年4月4日月曜日

「金融と社会」回答その1

ご質問ありがとうございます。まず印刷教材のこの部分はすべてフローについての議論です。内閣府のペーパーにもあるように、マクロ経済学などで登場するISバランス  (S-I) + (T-G) = NX 民間貯蓄超過   政府黒字  国際収支黒字(海外赤字) を念頭に、民間貯蓄超過の大幅プラスが、政府赤字のマイナスを相殺してもなお左辺がプラス、したがって右辺もプラス(海外マイナス)、という状態です。 近年コロナで政府赤字が大幅に増加しましたが、家計貯蓄も大幅増加して、2020、21年とも左辺はプラスを維持しています。  ご質問のなかばにあるストックの話は、たとえば銀行が保有していた米国債を売った資金で、新規に発行された日本国債を購入することをイメージされているのでしょうか。それが得だと銀行が判断すればそうするでしょうが、強制することはできず自動的にそうなるわけでもありません。  最後の第一次所得収支については、書かれているとおり、たとえば利子収入はドルで得られドルのまま持たれたり再投資されたりしますが、円換算して所得収支に繰り入れられています。

「金融と社会」質問その1

内閣府のペーパー(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/future/sentaku/s2_6.html)によると、フローで見れば、経常収支の黒字が、政府部門の赤字をファイナンスしていることになりますが、経常収支の黒字が、対外純資産としてストック面で蓄積されていると考えられます。この場合、もちろん、経常収支が赤字に基調的に転落すれば、フローで見た場合、政府部門の赤字をファイナンスするために、海外資本を呼び込む必要性に迫られ、それは今よりも高金利であることが要請されるので危険だ、という意見もあります。ここで、フローで見れば確かにそうですが、ストックとしての対外純資産は、仮に経常収支が赤字になった場合に、政府部門の赤字をファイナンスする役目を果たすことはないのでしょうか?仮に、そのような事態になった場合、具体的にどのようなスキームで、対外純資産を政府部門の赤字をファイナンスの用に供するのでしょうか?また、経常収支黒字の源泉である、企業部門の第一次所得収支についてですが、最近は、企業も資金を更なる海外投資、M&Aに投資するべく、資金を円ではなく、ドルで保有しているとされますが、それは、第一次所得収支に、円換算して勘定されているのでしょうか?(https://jp.reuters.com/article/japan-economy-idJPKCN1QP0DX)

異邦人

アルベール・カミュの代表作「異邦人」読み終えました。 2、3日あれば読める本だけど、簡潔で無駄がなく、それでいて、人生の不条理、無意味あるいは有意味、死への遥かな洞察。

2022年4月3日日曜日

待てなかった。

放送大学の今期新設科目「世界文学への招待」の初回が、カミュの「異邦人」で、(ズームだけど)面接授業を受けたことのある野崎歓先生が担当されてて、非常に面白そうだから、アマゾンで、異邦人を文庫本で注文をしたものの、やっぱりすぐに読みたいな、と思って、キャンセルしてkindleで買いなおしてしまった。やっぱこういうのは紙で読まないとダメでしょ、と思ったのに、デジタルに屈した。

2022年4月1日金曜日

過去ログ(行政法)

質問:今年(2018年)8月21日に、菅官房長官が、記者会見で、携帯料金を4割値下げする、と発言し、auをはじめとする携帯会社の株価が一時下落しました。 要件としては、①官房長官は行政庁か②官房長官の記者会見は行政行為か③損失を被った株主の原告適格、の3つと考えられます。 一番の論点は②の官房長官の発言は行政行為か、と思われます。仮に取消訴訟で勝って、官房長官の発言が無効とされたとしても、株価が戻るかは不確実で、損害賠償もしてもらえないとなれば、わざわざ訴訟を提起するのはデメリットのほうが大きくなってしまいます。 文字数制限の都合で、論理が飛躍している部分がありますが、ご容赦ください。 ご回答:ご質問ありがとうございます。まず①との関係では、官房長官は行政庁には当たりません。行政庁とは、行政主体(ご質問との関係では国)のために意思決定を行いこれを表示する権限を有するものをいう(印刷教材45頁)のですが、携帯電話事業に対する事業認可の権限をもっているのは総務大臣でして、官房長官が料金設定についての発言をしてこれが料金設定に影響を及ぼすとしても、それはあくまでも事実上のものだからです。また、質問事項②については、行政行為とは、行政庁が法律に基づき一方的に国民や住民の権利義務の個別的・具体的な内容を直接確定する行政機関の活動形式をいう(印刷教材70頁参照)わけですが、官房長官の記者会見は、法律に基づき国民や住民の権利義務の個別的・具体的な内容を確定するものということができませんので、行政行為に該当するということができません。さらに質問事項③につきましては、原告適格以前に問題となることがあります。それは、官房長官の発言が取消訴訟の対象となる「行政庁の処分」(行訴法3条2項)の要件を満たさない、ということです。つまり、「行政庁の処分」とは、「公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう」とされている(印刷教材170頁参照)のですが、官房長官による記者会見での発言は、国民などの権利義務の個別的・具体的内容を確定するという法的な効果を発生させるものではないので、「行政庁の処分」という要件を満たしません。したがって、損失を被った株主の原告適格があるかないか、ということを問う以前に、そもそも質問にある発言は取消訴訟で争うことができる対象には当たらない、と考えられます。

妄想卒論その7 (再掲)

「ウォール街を占拠せよ」 を 合言葉に 米国で 反格差のデモが広がったのは 2011年。 怒りが新興国に伝播し、 米国では 富の集中がさらに進んだ。 米国の 所得10%の人々が得た 所得は 21年に全体の46%に達した。 40年で11ポイント高まり、 ...