今は、ちかくの、みやもとクリニックに10年以上診てもらっていて、1割負担だが、それ以前は、千駄木にある上野メンタルクリニックというところに通っていた。 小俣和一郎先生という方が、ひとりで運営されていたようだが、どういうわけか自由診療、つまり、10割負担で、エラいカネがかかった。 しかし、あの頃の俺には、そうでもしないと、とても話したいことが話しきれなかった。 その小俣先生は、友人が紹介してくれた。 で、ともかく、かれこれ5,6年はかかっていたと思うのだが、割とすぐに、家族診療と称して、姉も通い始め、つまるところ、自分(姉)こそが小林家の可哀想な犠牲者だ、と縷々切々訴えていたようだ。 そんなもんだから、1年で姉だけで100万円もかかった時があったらしく、姉が小俣先生に「そんなに?!」と叫んだら、小俣先生から「安いもんでしょ。」と即答されていた。 えーと・・・本題はそういうことじゃなくて、姉がいうには、「小林家という宗教から抜け出してください。」と言われたらしい。 「小林家という宗教」か。 なるほど、言い得て妙だ。 確かに、ほとんどそれ自体が宗教みたいな家族だった。 精神科医にそんな風に言われるんじゃな。 そのくせ、言われた姉本人が、今度は医者を替えて、あちこちのメンタルクリニックに通いつめて、自分(姉)がいかに小林家の被害者か、涙ながらに訴えていたようだったが。 それはともかく、何が言いたいか、というと、俺は、物心ついた頃から、その「小林家という宗教」の檻のなかで、怒りを表に出す、ということを、ひたすら我慢し続けてきたのだった。 それは、だいぶシンドかった。 しかし、古代ギリシャ道徳哲学がご専門の先生から、考えすぎないこと、とアドバイスを頂戴して、そうか、怒ってもいいのか、と思ったら、かなり気が楽になった。 怒る、というのも、人間にとって欠くべからざる感情なのだろう。 もちろん、場を弁えることは大事だが。 とにかく、そんなこんなで、ちょっと人生が良い方向に進み始めた気がする。