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菜根譚 (再掲)

      ひるのひかりに やかれつつ きみは だれかを おもいだす よごれた上着は ぬぎすてて よるのしんえん ひとり座る こはくにゆれる そのしずく ミントのにおいが はなをぬけ はいでこされた しじまが あついこころを とき放つ よるはゆたかな ようざいか とおいだれかを 引き算し のこった わずかな いとしさで むねのしんおう みちてゆく やみを おそれることはない それは おもいをつなぐ時間 くもりなきまで みがきあげ こころののれん ととのえん よるを知るめは すずやかに あしたのざわめき つきぬける りんとさくべき いちりんの きみのこどくを はじめればいい

菜根譚 (再掲)

      「正解」という言葉は、耳に心地よいけれど、どこか他人の匂いがする。 最短距離で、最小の労力で。 そうやって導き出された答えをなぞる日々は、便利ではあるけれど、 自分の人生を生きているという実感を、少しずつ削り取っていく。 誰かが整備した舗装道路を歩くとき、人は足元ばかりを見て、 空の色を忘れてしまうものだから。 けれどそこに、たった一滴、「希望」という名の不純物を垂らしてみる。 それは客観的な正しさを壊す、あまりに主観的な、わがままな一滴。 しかし、その瞬間に風景は一変する。 乾いた砂のような「正しさ」の集積が、 潤いを帯び、形を変え、私だけの「物語」として脈打ち始める。 ただの天体の位置に過ぎなかった「北極星」が、 私にだけ行き先を教える、唯一無二の光として輝きだす。 確かなものなんて、何ひとつない。 それでも、自分で灯した光だけは、裏切らない。 世界がどんなに「正解」を求めても、 私は、この頼りない「物語」と共に歩いていこうと思う。 暗闇を照らすのは、いつだって効率ではなく、 心の奥底に秘めた、青い熱量なのだから。 今夜も、静かな夜に。 あなたの物語に、乾杯。

菜根譚 (再掲)

   迷子になれる場所を、ずっと探していた気がする。 カレンダーの数字に追われ、 誰かの評価という、実体のない風に背中を押されて。 私たちはいつのまにか、自分の足音さえ忘れてしまった。 ふと、立ち止まる。 錆びた看板。 夕暮れに染まる、名もなき坂道。 そこには、世界が決めた「時間」なんて、どこにもなかった。 一時間を、効率という言葉で切り売りするのは、もう終わりだ。 これからは、自分のためだけに「刻」を使おう。 賑やかな場所から、少しだけ距離を置く。 それは、孤独になることじゃない。 自分という「個」の輪郭を、もう一度、確かめるための作法。 昨日の自分に、義理立てはしない。 明日の自分を、今から縛りもしない。 揺れる暖簾の向こう側に、 ただ、透明な「今」が重なっていく。 一刻、また、一刻。 私は、私を、生きてみる。