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今日のコラムは、 企業が海外直接投資で 稼いだ カネは、 再び 海外での投資に向けられる。 そうして得られた利益 その残高(昨年末時点)が 46兆円。 一応 経常収支(のうちの第一次所得収支)には計上されるが、 国内に還流することはない 張り子の虎、 とのことでした。 コラムでは、 その カネを国内に還流させれば、 株高ぐらいは 演出できるし、 円安の歯止めにも 一役買うのでは、 という苦しい理屈でした。

思想史講義【大正編】 ちくま新書

天皇機関説事件だけど、 穂積・上杉説 にしても、 美濃部説、 ひいては 現在の憲法学のように、 国家の実存を感じられないような 漠然とした理論よりも、 「国体」なんていう概念的なものじゃなくて、 みんなで天皇をワッショイワッショイして、 まるでお祭りのように、 日本という国が、 まさに ここにあるじゃないか! という「実感」を 伴った理論のほうが、 パンピーにはウケる、 というのも、 現在の日本人に照らしても、 わかりやすい。 この「実感」を 伴った国家観は、 ヘーゲル主義とも親和的に感じられる。 美濃部説と親和性の強い 現在の憲法学では、 日本という国家を実態として 感じる、ということはないだろう。 アリストテレスの「善き市民として生きる」という 発想にしても、 それは 古代ギリシャ都市としての国家観であり、 現代の日本人は、 やはり なんとなく ハッキリしない もやもやした 日常の中を生きる以外ないのだろう。 その中で、 勝ち組だの負け組だの、 社会化された人間の、 原始的な欲求を日々満たしながら、 人生を送らざるを得ないのかも知れない。

井沢元彦氏の主張の一部

①天智天皇と天武天皇の関係 天智とは殷の紂王が 抱えて死んだと言われる 天智玉に由来する。 (これは森鴎外も「帝諡考」で仄めかしている) 天武は、 殷を滅ぼし 周を築いた武王に由来する。 つまり、 天武天皇は、 そこで 皇統の系譜があらたまったことを主張している。 (だが、桓武天皇の時に、天智天皇系に再び代わった。) 自分の統治の正当性を主張するために、 「日本書紀」を編纂した。 ②浅野内匠頭は統合失調症だった。 これも、 同じ病気の人間としては頷ける。 いくらムカついたからって、 藩が取り潰しになるのに 襲撃するとか、アホすぎる。 しかも、 吉良上野介を殺せなかった。 ちなみに、乃木希典は、俺だったら刺す、と言ったらしい。

ホッと一安心ー今朝の日経8面

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物価上昇でも現預金志向 円安とインフレで、 日本円を持っていても 損だということで、 海外への 資産フライトが 起きるんじゃないかと 危惧されていたが、 「日本人は節約志向が強いので、物価が上がりそうだから早めにお金を使うという考えにはなりづらい」 らしい。 日本人に 根深く染み付いた デフレマインドが、 今回は プラスの方向に 働いた、ということか。 でも、それって、 日本人のリスク許容度の低さの裏返し でもあるよな。 そら 景気なんか良くならないよ。

昭和史発掘ー貧困

松本清張の「昭和史発掘」の内容を 思い返すと、 昭和のテロに走った 青年将校とか、 それを先導した 思想家たちってのは、 邪悪な人たちでは 決してなく、 ある意味では 純粋すぎるほど純粋な 人たちだった、という印象が強い。 財閥が支配する 日本経済に対する憤怒 特に、 搾取され続ける 東北地方を始めとした 貧しい農家、 このような 社会の矛盾に対して それこそ 身を賭して 「悪」を成敗してやろう、 という純粋な人たちだった。 財閥は財閥で、 確かに えげつないこと 散々やってて、 なんなら 戦争を敢えて起こすことで 儲けよう、 なんて考えてる連中であったことも また事実なんだけど。 大正デモクラシーといえば、 明るくて自由な 思想が花開いた時期、 と一般に認識されているが、 拡大する貧富の格差は、 多様な思想の中に、 危険な国粋思想をも抱え込んでいた。 また、これは 日本に限った話ではなく、 ドイツにおいても、 ファシズムというのは、 共産主義に対抗する 選択肢の一つとして、 ポジティブに見られていた時期もあった。 このように、貧困というのは、 社会が無視しておくには あまりに 危険な問題なのだ。

人間にとって貧困とは何か (放送大学放送授業)

めちゃくちゃ面白いね。 まだ第一回の授業を聴いただけだけど。 自分は、金銭的には 貧困とは無縁の暮しをしているけれども、 もしかしたら 精神的には「貧困」な暮しを していた、あるいはしている、 のかも知れない。 社会と産業コース 人間と文化コース を卒業して、 消去法で 生活と福祉コース に再入学したけど、 はっきり言って、 生活と福祉コースをナメてた。 とてつもなく 大きな 未開拓地が広がっている。 特別な前提知識を必要とすることなく、 貧困のみならず、 公衆衛生や社会保障論など、 幅広い分野の知見を得られるようだ。 いやー 放送大学すげーな。 「地元最高!」 という漫画も、 地元最高、といいながら、 それは貧困の裏返しでもあり、 相互扶助、連帯、という、 一見聞こえの良い ワードが、 実は 束縛であり、不自由であり、さらには、 「呪縛」 でもある、という 極めて 現代的なテーマを如実に顕している。 https://www.youtube.com/watch?v=V6Dfo4zDduI

当てはまりにくい「貨幣数量説」ーいつぞやの日経切り抜きより 大阪大学教授 敦賀貴之先生

経済活動の量が変わらなければ、 貨幣量を増加させれば 物価だけが増えると予測できます。 つまり、経済に流通する貨幣量を 機械的に増やすと、 増えた貨幣はそのまま 経済に流通し、 経済取引の総額が増えます。 しかし、 経済にお金が回っても 需要が高まるだけで、 供給は増えず、 貨幣量と同じスピードで 物価だけが上昇します。 このように、 貨幣の数量で物価が 決まるという考え方が 貨幣数量説です。 日銀は20年近くにわたり、 貨幣量を大幅に増やしましたが、 物価の上昇は期待ほどではありません。 多くの経済学者は、 短期的には 貨幣量の変化は生産量の変化につながると考えます。 さらに データ上は、 流通速度は趨勢的に 低下傾向を示し、 日本ではこの30年で 流通速度が半分に低下しました。 貨幣量が増えれば 物価は上がるという 単純な理屈は 当てはまりにくいのです。

ボードレール 「フーコー・コレクション6」ちくま学芸文庫 より

ボードレールにとって、現代的な人間とは、自己自身の発見、自らの秘密および自らの隠された真理の発見へと向かう人間ではない。 現代的な人間とは、自分自身を自ら創出する人間のことなのだ。 現代性は、「人間をその固有の存在へと解き放つことはない」。 現代性は、人間を、自分自身を作り上げるという使命に縛り付けるのである。 (379ページ) (中略) <現在>のこうしたアイロニカルな英雄化、現実的なものを 変容させるために現実的なものと取り結ぶ自由の戯れ、 自己の禁欲的な練り上げ、 ボードレールはそれらが社会自体のなかで、 あるいは政治体のなかで 成立しうる、 とは考えていない。 それは、他の場所でしか起こりえないのであり、 その場所こそ、 ボードレールが 芸術と呼ぶものなのである。 (380ページ)

青空文庫ー「かのように」 森鴎外

かのように 森鴎外  朝小間使の雪が火鉢ひばちに火を入れに来た時、奥さんが不安らしい顔をして、「秀麿ひでまろの部屋にはゆうべも又電気が附いていたね」と云った。 「おや。さようでございましたか。先さっき瓦斯煖炉ガスだんろに火を附けにまいりました時は、明りはお消しになって、お床の中で煙草たばこを召し上がっていらっしゃいました。」  雪はこの返事をしながら、戸を開けて自分が這入はいった時、大きい葉巻の火が、暗い部屋の、しんとしている中で、ぼうっと明るくなっては、又微かすかになっていた事を思い出して、折々あることではあるが、今朝もはっと思って、「おや」と口に出そうであったのを呑のみ込んだ、その瞬間の事を思い浮べていた。 「そうかい」と云って、奥さんは雪が火を活いけて、大きい枠わく火鉢の中の、真っ白い灰を綺麗きれいに、盛り上げたようにして置いて、起たって行くのを、やはり不安な顔をして、見送っていた。邸やしきでは瓦斯が勝手にまで使ってあるのに、奥さんは逆上のぼせると云って、炭火に当っているのである。  電燈は邸やしきではどの寝間にも夜どおし附いている。しかし秀麿は寝る時必ず消して寝る習慣を持っているので、それが附いていれば、又徹夜して本を読んでいたと云うことが分かる。それで奥さんは手水ちょうずに起きる度たびに、廊下から見て、秀麿のいる洋室の窓の隙すきから、火の光の漏れるのを気にしているのである。      ――――――――――――――――  秀麿は学習院から文科大学に這入って、歴史科で立派に卒業した。卒業論文には、国史は自分が畢生ひっせいの事業として研究する積りでいるのだから、苛いやしくも筆を著つけたくないと云って、古代印度インド史の中から、「迦膩色迦王かにしかおうと仏典結集ぶってんけつじゅう」と云う題を選んだ。これは阿輸迦王あそかおうの事はこれまで問題になっていて、この王の事がまだ研究してなかったからである。しかしこれまで特別にそう云う方面の研究をしていたのでないから、秀麿は一歩一歩非常な困難に撞著どうちゃくして、どうしてもこれはサンスクリットをまるで知らないでは、正確な判断は下されないと考えて、急に高楠博士たかくすはくしの所へ駈かけ附けて、梵語ぼんご研究の手ほどきをして貰った。しかしこう云う学問はなかなか急拵きゅうごしらえに出来る筈はずのものでないから、少しずつ分...

拒否的抑止

こういう考え方があるということは知っておこう。 https://www.nikkei4946.com/knowledgebank/today/detail.aspx?value=3621 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2916Q0Z21C21A1000000/