冬 (再掲)
一切の虚飾を剥ぎ取った冬の領土に、
あるとき不意に、鋭く透き通った光が差し込む。
その光は、凍てついた地表を射抜き、
雪の下に眠る「土」の沈黙を暴き出す。
春の陽光に浮かれる前の、まだ硬く、黒々とした土の匂い。
それは、数多の枯葉や生を終えたものたちが腐朽し、
長い時間をかけて静かな「澱(おり)」へと還った場所から漂う、
濃密な生命の予感だ。
私たちは、自らの内側にこの「冬の土壌」を抱えて生きている。
思考を研ぎ澄まし、孤独を友とし、
己の規律を厳格に守り抜こうとする沈黙の季節。
その寒さに耐える時間は、一見すると不毛に見えるかもしれない。
しかし、光は常に、その極限の静寂の中から生まれる。
冷徹な空気の中で、内側に深く沈殿した記憶や葛藤が結晶となり、
土の奥底で自ら輝きを放ち始める。
それは外から与えられる救いではなく、
自らの泥を、時間をかけて光へと転化させる「燐光」である。
4月の風が街を吹き抜けても、
私の内側には、あの凍土の重みと、
そこから滲み出す確かな光が居座っている。
足下の泥を知る者だけが、その一筋の光に、
逃れようのない「生」の輪郭を見るのだ。
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