質問:ふと疑問に思ったのですが、刑法は全く勉強したことがないのですが、刑法上違法な行為、というのは想像がつくのですが、民法、あるいは行政法において、「違法」とはどういうことでしょうか?
K先生からのご回答:民法上の「違法」はいわゆる「不法行為」を含みます。民法709条以下です。明文に違反してなくても、他人の権利を侵害するような行為は「違法」認定されます。
行政法は・・・
国家賠償法上の「違法」は、先の民法上の「違法」に準じた考え方で「違法」の有無が判断されることもありすが、行政争訟上の違法はこれとはまた違ってきます。刑法上の「違法」と似たところはありますけど、完全に同じではないかなぁ~
質問:例えば、道路交通法は行政法に属するかと思いますが、道路交通法に違反することは、「違法行為」でしょうか?それとも、道路交通法は刑法上の概念ともダブるのでしょうか?
K先生よりご回答:道路交通法は違反した場合、罰則を課すことが多いので、そうした場合は刑法上の違法ということになります。
行政法上の違法というのは私人からみて行政がわが公権力行使の違法を問うという文脈で「違法」が問題になります。
刑法上の「違法」は既存の刑事法令への違反のみが問題になるのに対して(ほうりに違反しなければ何をしてもかまわない)、行政の側は既存の法令に違反する場合だけでなく、法令の根拠なしに行った行政作用が「違法」なることがあります。(法律の留保)
質問:刑法というのは、
主に私人に対する制裁という
ことになろうかと思いますが、
(控除説に立てば)
刑法を適用する主体も
また
行政権に属するものであり、
三権分立の精神に鑑みれば、
まず思い浮かぶのは、
司法権が
行政権の濫用に
歯止めをかけることであり、
また、
立法権という観点から見れば、
国権の最高機関たる
国会において、
国民からの
信託に基づいて
代理人たる国会議員が立法行為を行う、
ということに
なろうかと思いますが、
現実問題、
行政法規を
国会で議論しているとも思えず、
手っ取り早くいえば、
行政権の肥大化と、
その暴走が懸念される
ところではないか、
と考えます。
そうであれば、
私人が
行政権の権限踰越に対して
抑止力を持つためには、
やはり選挙を通じて
自らの権利を保障してもらう、
という
堂々巡りになって
しまいそうな気がします。
K先生からのご回答:刑事訴訟法という法律は「訴訟」という名前になっていますが、文字通りの「訴訟」のみならず、警察の犯罪捜査から、逮捕、送検、公訴提起、裁判手続き、判決、刑の執行まですべてを網羅しています。
そして、俗にいう警察(官)は「司法警察職員」とされ、一般の行政職員とは区別されています。警察職員の行動は警察官職務執行法によって規律され、家宅捜索や逮捕も裁判所が発する令状によらなければできないことになっています。
なので、「行政権」とはいっても、一般の行政とは相当に違っています。もっとも、司法によるチェックがどれだけ機能しているか、はまた別問題ですが・・・
1. 序論:『それから』に映し出される明治期の近代化 本稿は、夏目漱石の小説『それから』を題材に、日本の近代化がもたらした状況と、それが個人の経験に与えた影響について考察するものである。特に、経済的豊かさが生み出す「自家特有の世界」への耽溺と、それが最終的に経済の論理に絡め取られていく過程、そしてテオドール・W・アドルノが指摘する、社会の合理化と精神世界における非合理への慰めを求める人々の傾向を、作品を通して分析する。 日本の明治時代(1868-1912年)は、長きにわたる鎖国状態を経て、1853年の黒船来航を契機に世界と対峙し、驚くべき速度で西洋の制度や文化を取り入れ、「近代国家」への道を歩んだ画期的な時代である 。この時期には、鉄道、郵便局、小学校、電気、博物館、図書館、銀行、病院、ホテルといった現代の基盤となるインフラや制度が次々と整備された 。政府は「富国強兵」や「殖産興業」といった政策を推進し、工場、兵舎、鉄道駅舎などの建設を奨励した。また、廃藩置県や憲法制定といった統治制度の変更に伴い、官庁舎や裁判所、監獄などが建設され、教育制度の導入は学校や博物館の整備を促した 。 西洋化の影響は日常生活にも深く浸透した。住宅様式においては、外国人居留地を起点に西洋館が普及し、やがて庶民の住宅にも椅子式の生活スタイルが段階的に浸透した 。食文化においても、仏教の影響で長らく禁じられていた肉食が解禁され、西洋列強との競争意識から日本人の体格向上と体力増強が期待された 。洋食は都市部の富裕層を中心に広まり、カレーライスやオムライス、ハヤシライスといった日本独自の洋食が定着した 。大正ロマン期(1912-1926年)には、西洋文化と日本独自の文化が融合し、「モガ」や「モボ」と呼ばれる若者たちが洋装に身を包み、カフェで音楽や映画を楽しむ「自由でおしゃれな空気」が醸成された 。経済面では、明治後期から軽工業が発展し、日露戦争前後には鉄鋼や船舶などの重工業が急速に発展し、日本の近代化を加速させた 。第一次世界大戦期には工業生産が飛躍的に増大し、輸出が輸入を上回る好景気を享受した 。 『それから』(1909年発表)は、夏目漱石の「前期三部作」の二作目にあたり、急速な近代化が進む日本を背景に、個人の欲望と社会規範の...
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