政治学へのいざない (再掲)
問われるべき問題は
いかにしたら、
このようにして発達した、
所有権のような
個人の権利の意識が、
社会全体への奉仕と
一体になることで、
より
理性的で
自由な意識へと
陶冶されるかだ、
とヘーゲルは考えた。
そして、
権利と義務が衝突せず、
私的な利益と
公的な利益が
一致するような
人間共同体が形成されるならば、
その共同体のメンバーの幸福を
みずからの幸福と感じ、
法や制度に従うことは
自己の欲望の否定ではなく、
自己の
理性的な本性の肯定であると
考えるような市民が
生まれると主張したのである。
国家こそ、
このような倫理的共同体における
最高次のものだと
ヘーゲルは考えた。
(放送大学「政治学へのいざない」211頁より)
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