2024年5月13日月曜日
レポート予備
日本の政府債務はGDPの2・5倍に達しているのは周知の事実である。財政の問題を論じるうえで論点となるのは、名目経済成長率と名目利子率のバランス(比率)である。分母が名目利子率であり、分子が名目経済成長率であることを考えると、今後、日銀が利上げの方向に舵を切るうえで、名目経済成長率の向上は、喫緊の課題と考えられる。これを踏まえたうえで、名目経済成長率を向上させるには、労働生産性の向上が避けて通れない。日本の雇用慣行は、長時間労働ありき、年功序列賃金、企業別労働組合の3つが相互に絡まり合っている。仮に、労働生産性を上げようとする場合、長時間労働ありきは、その阻害要因になる。なぜなら、より短い時間でより多くの付加価値を生み出せる労働者がいたとすると、長時間労働ありきの労働現場では、より多くの時間働かせようという発想が根深く染み付いているので、短時間でより多くの付加価値を生み出そうとすると、労働者は疲弊してしまう。したがって、労働者の合理的な選択として、一種の手抜きが行われることは想像に難くない。そうしなければ、疲弊してしまう。従って、敢えてでも労働時間の短縮環境を整備し、労働者各個人の自発的な労働生産性の改善を促す必要があると思われる。もちろん、これは労働者各個人の発想の問題なので、長時間労働が当たり前になっている労働者には、かえってモラルハザードを誘発させかねない。これが、長時間労働ありきが長年の慣行として染み付いた弊害の一つである。そして、その長時間労働ありきの労働慣行を助長してきたのが、年功序列賃金制である。長時間労働ありきの職場環境で、かつ年功序列賃金制である場合、低い労働生産性を労働者が強力に促進するモチベーションとなる。つまり、ダラダラ仕事して見せかけだけ働いて、時間を稼ぐ、という働き方が当たり前となる。そのようなインセンティブを与えている。最後に、企業別労働組合制は、労働者の企業に対する発言権を奪い、上述したような雇用慣行を温存させていることは容易に想像できることである。
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