2023年7月9日日曜日

繊維産業と日本経済史ー編集 (再掲)

2021年の大河ドラマは、渋沢栄一を扱っていたが、蚕を飼って桑の葉を食べさせているシーンがあったが、蚕を飼うということは、最終的に絹を作って、輸出するということだから、既に世界的な市場と繋がっていて、本を辿れば、あの時代に既に農家も貨幣経済に部分的に組み入れられていたということ。 つまり、生活するのにカネが必要になるということ。 それ以前は、綿花を作っていた。その時代は、塩と綿の苗だけはカネで買ったけれど、それ以外はカネを使わなかった。 つまり、養蚕業が日本の原風景というイメージは、違う。 綿花を作っていた頃は、綿を作って、紡績業者に委託して織物にしてもらって、それを藍染にしていた。 桐生などが代表的だが、綿花を紡績する織機産業が日本のプロト工業化の役割を担った。 大河の描写では、渋沢家は養蚕と藍染を両方やっていた。 横浜が開港して、八王子との間に交通が整備されると、山梨や長野からの絹が八王子に集積され、横浜港から世界に輸出され、第二次大戦まで、日本の外貨獲得の最大の資金源となり、横浜と八王子を結ぶラインは、シルクロードと呼ばれた。 戦後は、横浜からの舶来文化の流入で、在日米軍への、音楽などの文化的サービスが生まれ、花街も賑わった。 八王子を代表するシンガーソングライターに、松任谷由実がいるが、彼女も、八王子の絹呉服店に生まれ、子供のころから、米軍関係者に歌を披露したいたそうだ。 幕末から 明治にかけて、 多くの 混乱を 経て、 生糸や 茶の 輸出の 決済手段を 通じて、 それまで 存在した 多様な 種類の 通貨を 一本化した ようです。 貿易実務の 勉強を していた時期が あるので、 なんとなく わかる気がしますが、 ややこしいですね。 以下引用(p.48より) すなわち 生糸や茶を 輸出するものはまず、 船荷証券を つけた 取立為替手形を 正金に 呈示する。 正金は、 政府より 借り受ける はずの 紙幣をもって、 これを 買い取る、 つまり 割り引く。 ついで 正金は、 手形と 船荷証券を その 仕向地に 配備されるはずの 正金出張員へ 送付する。 出張員は、 手形と証券を 受領次第、 これを 名宛人に 呈示して その 債務を確認させ、 期日に 生糸や茶の 代価を ポンド、ドルの 外貨や正価で 回収する。 直ちに この 代価は 正金横浜本店へ 電送される。 そして 最後に 正金が、 この 正価または 外貨を、 借り受けた 紙幣の 代価 として 政府に 返済して、 前田(正名) の 推奨する 紙幣を もって 正価を 得る仕組みは 完結する のであった。 参照:「日本金融史」(有斐閣選書 玉置紀夫)

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