2022年11月4日金曜日

武蔵

武蔵に高校から入る、 というのは、 受験それ自体よりも、 むしろ 入ってから 適応するのが 難しいのです。 何しろ、 栃木の田舎 の 日大付属中から、 誰も 知り合いのいない 環境に 放り込まれるわけですから。 下手に スカした態度してると、 「標的」にされます。 それはあたかも ジョジョの奇妙な冒険 で ジョルノ・ジョバーナが パッショーネの 一員になるために 様々な試練を 乗り越える必要があるのと 同じです。 自分は どうにかこうにか くぐり抜けました。 勉強では敵わないので、 体育の授業でしか 見せ場を 作れませんでしたが、 「ここでこのシュートを 止めなければ 俺は ここで ずっと 日陰者になる!」 という危機感で、 自分でも信じられないような ファインセーブを 出来たこともあります。 あるいは、 バスケの授業で、 信じがたいような スーパーシュートを 決めて、 おお、お前すげーな。 と、 認められたこともあります。 そうやって、 武蔵での 存在感を獲得していったのです。 単に 勉強が出来る、 というだけで リスペクトされる 世界ではありません。 もちろん、 数学オリンピックで 金メダルを取る レベルになれば 話は違いますが。 武蔵には、 ヒエラルキーというものの 代わりに、 教室単位よりも むしろ 部活を中心とした アメーバのような コミュニティーの 集まりのような 人間関係が 存在していますが、 とりあえず どこかしらの コミュニティーに入っていれば、 そんなに クラス全体から いじめられる、 というのは 考えにくいです。 そもそも クラス単位で 何かをやる、 という意識が希薄なので。 と、いっても 自分の感覚では 2年に1人くらいは 自殺の話を聞きます。 理由は知りません。 そりゃ当然でしょ。 あるいは、 高校から入って、 適応できずに (たぶん)辞めていったやつも います。 下手すれば 自分も辞めてました。 多感なお年頃の 男子ばかりの 学校というのは、 そんなもんじゃないですか? 別に 極楽浄土というつもりは ありませんが、 伝統ある男子校なんて、 そんなもんじゃないですか? 色々問題を抱えつつも、 教員も 完全に放置でもなく、 かといって 過剰に 干渉するでもなく、 かといって 突き放すでもなく、 そうやって、 脈々と 受け継がれてきた 包容力が、 武蔵という 学校の魅力だと思います。 そうして、 常識のぶっ飛んだ 実に 面白い連中が 揃ってるのも、 また 武蔵の 大きな魅力の一つです。

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