2022年7月19日火曜日
「こころ」夏目漱石
放送大学の2学期の面接授業で
「こころ」を題材に
日本文学における近代性とは何か?
を探る、というのがあるんだが、
自分の考えでは、
「こころ」は、
入念に準備された実験室で、
わずかな人間のエゴが
登場人物全員を不幸にする、
という
一種の実験小説のような気がする。
あたかも
化学の実験のように
人間関係の動きをシミュレーションする、というのは、
ある意味ゲーテ的でもあるような気がするが、
ちょっとガチガチの決定論に陥っている印象が否めない。
夏目漱石の意図としては、
人間のエゴそれ自体を糾弾したかったというより、
飽くまで
そういう実験小説を書きたかったのではないか、という気もする。
未完の遺作「明暗」は、
もっと
登場人物の意図せざる発言や、
エゴや、
その他
偶然に支配されたより現実生活に近い
構成になっている感がある。
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