2022年3月7日月曜日
信と不信
興味深い論考とコメントはいつものことながら、井上俊先生といえば、
学部・院生時代に学んだことのある印象深く懐かしいお名前で、
その名を小林君から聞くことになるとは、と、何とも感慨深いものがありました。
不信は実は信と表裏一体、近代という<他者>との遭遇が産み出した
社会現象だということですね。井上さんの筆致は論理的であると同時に
軽やかですが、この社会背景の下、ついついパラノイア的に<信/不信>の
ダブルバインドに囚われ、のたうち回ることになるのが漱石を初めとする
日本の近代の作家たちです。
井上さんといえば『死にがいの喪失』を想起しますが、なるほど彼の
最も著名な著作は『遊びの社会学』でした。
井上俊と井上忠司といえば、京大系が早くに世に送り出した社会学の
両雄のようなものですが、そういえば京大に似つかわしくもなく、若い
学問なのに社会学は東大に抗して善戦していますね。上野千鶴子然り、
そして東大社会学随一の見田宗介の一番弟子の大澤真幸さんが西下して
しばらく人環で教授を務めていました。京大が誇る文芸社会学の作田啓一先生の
後任です。
何だか懐かしい名前をいっぱい思い出してしまいました。
なお、「起源」の話ですが、なるほどデリダの「根源」のことですね。
柄谷行人の『日本近代文学の起源』が念頭にあったのですが、まさにそもそもの
起源はデリダ、ですね。柄谷はアメリカのイェール学派からの影響大で、この派は
ポストモダン思想を過激化しながら継承しており、柄谷氏もなかなかラディカルです。
上の社会学の話と同様、デリダの「差異」論には、私たちの世代の日本近代文学の徒は
随分、大きな恩恵を享受しています。
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