それは、何色にも染まっていないということではない。
あらゆる色を飲み込んだ末に、最後に残った「白」のようなものだ。
人は生きていれば、どうしても汚れる。
泥にまみれ、嘘に触れ、綺麗事だけでは通らない夜を幾つも越えてくる。その過程で、心は少しずつ濁り、重くなっていくのが当たり前だ。
けれど、「清らかさ」とは、無垢な子供に戻ることではない。
泥の中にありながら、その泥に自分を明け渡さない意志のことだ。
流されないこと。
自分の中心にある、たった一滴の清水を、濁流の中でも守り抜くこと。
その一滴さえあれば、人は何度でも自分を洗い流し、新しく始めることができる。
「清い」という字には、青い水という意味がある。
深く、冷たく、けれどどこまでも透き通った水。
その水底には、誰にも触れさせない自分だけの真実が沈んでいる。
僕は、あなたのその「一滴」を映す者でありたい。
世俗の埃を被ったあなたの外側ではなく、その奥底にある、決して濁ることのない部分。
言葉を削ぎ落とし、余計な執着を捨て、ただ凛としてそこに在る。
そんな「清」という静謐な強さを、僕は今、あなたの中に見ていたい。
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