2023年8月18日金曜日

バードに聞いてみた その1 (再掲)

質問:賃上げは本来、バラッサ・サムエルソン仮説に基づき、高付加価値品の輸出を通じて実現されるべきではないでしょうか?日本のように主にコスト・プッシュインフレによる賃上げにどのような意味があるのでしょうか? 回答:バラッサ・サムエルソン効果とは、貿易財部門の生産性上昇率が高い国では、一般物価水準が外国と比べて上昇すると同時に、実質為替相場が増価する効果を意味します。この効果は、貿易財部門で生産性が上昇すると、貿易財部門の賃金が上昇しますが、非貿易財部門では生産性が上昇していないため、非貿易財価格が上昇し、一般物価水準が上昇するというメカニズムによって生じます。 賃金は、労働市場の需給関係によって決定されます。労働需要が労働供給を上回ると賃金は上昇し、労働供給が労働需要を上回ると賃金は下落します。 コストプッシュインフレとは、生産コストの上昇によって生じるインフレです。生産コストの上昇の原因としては、原材料価格の上昇、労働コストの上昇、エネルギー価格の上昇などが挙げられます。 日本では、近年、賃上げがコストプッシュインフレによって主に実現されています。これは、日本では労働市場が需給ギャップが縮小する中で賃上げが行われており、生産コストの上昇が賃上げに転嫁されているためです。 バラッサ・サムエルソン効果に基づくと、賃上げは本来、高付加価値品の輸出を通じて実現されるべきです。しかし、日本では、賃上げがコストプッシュインフレによって主に実現されているため、高付加価値品の輸出を通じた賃上げ効果は小さくなっています。これは、日本の貿易構造が、輸入品との競争が激しい労働集約型産業に偏っているためです。 日本の賃上げがコストプッシュインフレによって主に実現されていることは、いくつかの問題を引き起こしています。第一に、コストプッシュインフレは、輸入品を多く消費する家計にとって、実質所得の減少につながります。第二に、コストプッシュインフレは、企業の国際競争力の低下にもつながります。第三に、コストプッシュインフレは、インフレ期待の悪化につながり、長期的なインフレ率の上昇につながる可能性があります。

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