2023年7月23日日曜日

日笠完治先生より (再掲)

○国会に対して 連帯して 責任を負ってるのは、 内閣であって、総理大臣ではない。 ⇒憲法66条3項 「内閣は、行政権の行使について、国会に対して責任を負う。」から、 正当な主張です。 国会との関係における原則です。 ○したがって、 安倍首相の辞任に伴って、 内閣が総辞職して、 国会であらためて 首相を選ぶ選挙が行われた。 ⇒国会法64条で 内閣総理大臣は、 辞表を提出することができます。 辞表を提出すれば、 内閣総理大臣が欠けたことになります。 ⇒憲法70条で 「内閣総理大臣が欠けたときは、……内閣は総辞職しなければならない。」 に該当する。 ⇒そこで、次期内閣総理大臣は、 憲法67条で、 「内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。」 >>>>今回も、 憲法の規定通りに 行われています。 衆議院の解散については、 政治課題となっても、別の問題です。 ○もし解散権が首相の専権事項だというなら、 当然国会に対して 連帯責任を負っているのは 首相であって、首相が辞めた以上、衆議院を解散しなければならない。 ⇒憲法69条の 「衆議院が解散されない限り」 の規定、と、憲法7条第3号 「天皇は、内閣が助言と承認により、……これを行う。」 の規定から、 衆議院の解散権の主体は、 形式的には「天皇」であり、 その国事行為の関して 授業でお話ししたとおり 議論はありますが、 実質的には 内閣と解釈されています。 内閣総理大臣は 内閣の首長ですから、 実質的には内閣総理大臣が 解散を決定します。 ⇒新内閣総理大臣は、 解散権を現在行使しないと 発言されています。 首相が交代したが、 衆議院の解散は 必ず行わなければならないとは 言えません。 もちろん、授業で説明したように、 解散権行使は、 自由ではないという考え方もあります。 憲法解釈的には傾聴すべき見解ですが、 そのように解釈すべきとの 制度的な保障システムは ありません。 ○そうでない、 つまり国会に対して 連帯して責任を負っているのは 内閣だというなら、 政界の常識となっている 解散権は首相の 専権事項という考え方は、 憲法違反ということになる。 ⇒内閣の中に、 解散に反対する人がいれば、 内閣総理大臣は、 憲法68条2項によって、罷免することができます。 そして、 賛成の 残った国務大臣が 内閣として 内閣総理大臣の決定に従う という構図です。 ⇒憲法66条3項の 「内閣の連帯責任」 は、内閣一体の原則の表れです。 行政権が一体ではなく、 国務大臣ごとにバラバラに 行政を運営すれば、 現実問題が山積することになります。 そこで、 同条1項に規定されているように、 「首長」たる内閣総理大臣の 権限が存在します。 とりわけ国務大臣の 任命・罷免権を 背景として、 閣議を主宰しているのは、 内閣総理大臣です。 ⇒したがって、 ご意見のように「憲法違反」とは言えないというのが、 多数の解釈です。 以上、ご説明させていただきました。

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