2023年7月8日土曜日

産業革命と石炭 (再掲)

放送大学の「グローバル経済史」の授業でも、イギリスがいち早く産業革命を達成出来たのは、良質な石炭の産地と天然の良港が近接していたからだ、という議論があったけど、それが正しいとすれば、まさに日本にも当てはまる。 日本は、九州北部で非常に良質な石炭が産出され、それを長崎という天然の良港へとすぐに輸送することが出来、しかも上海という巨大なマーケットが存在していた。 石炭の産出地と輸出港が近接していることの最大のメリットは、石炭が酸化する前にマーケットへ届けることができるという点。 石炭は非常に酸化しやすいので、すぐに消費することが望ましい。 しかも、九州北部の石炭は非常に良質だった。 上海という巨大なマーケットが近くに存在していたメリットも大きく、オーストラリア産やイギリス産をも駆逐し、日本産の石炭は決定的な価格支配力を持っていた。 なぜなら、オーストラリア産やイギリス産の石炭がいくら良質でも、輸送中に酸化してしまうからである。しかも、日本は低価格で大量に販売したので、上海市場において他地域産の石炭を駆逐した。 また、石炭は江戸時代後期から使われており、製塩業の国内シェア9割を占めていた瀬戸内海沿岸の塩田で窯焚き用に中国地方産の石炭が使われていた。早い段階で石炭を商品として廻す市場システムが存在していたことも、日本の強みだった。

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