日本の
歴史教育だと、
ヨーロッパ史を
大学受験のために
勉強するのに、
ソクラテスも
アリストテレスも
名前だけ、
ホッブズやロックに至っては
政治・経済か倫理(?)に
丸投げ状態なので
なかなか見えてこないですが、
一通り勉強すると、
ヨーロッパ世界の歴史というものが
自然と見えてきます。
ソクラテスの弟子がプラトンで、
プラトンの弟子がアリストテレスです。
プラトンやアリストテレスの教えが、
中世キリスト教の教義に
組み込まれていきます。
つまり、中世というのは、
アリストテレスの道徳観・自然観が
強力に浸透しており、
ローマ教皇の権威も、そこから来るわけです。
したがって、ルネッサンスというのは
ある意味では
アリストテレスの否定なわけです。
例えば、ピサの斜塔から
重さの異なる
鉄球を落として、同時に落ちるのが
当時の人々にとって
衝撃的だったのは、
アリストテレスが
重いもののほうが
早く落ちると
(たぶん)
書いていたからです。
つまり、中世において
絶対の権威を誇った
アリストテレスの考えが否定されたわけです。
それは
とりもなおさず
中世キリスト教の否定でも
あるわけです。
そうすると、政治の世界でも
先述した
イギリスの例のように、
ローマ・カトリックの権威から
自由になる傾向が生まれると、
当然、
王様が偉い、ということになってきます。
それは、同時に
中央集権に傾くわけです。
なぜなら、
一国のなかでは
王様が一番偉いからです。
とはいえ、その王様の権威も
キリスト教のバックアップがあるわけですが。
しかし、
王様が一番偉い、という
ことになると、権力の歯止めが
効かず、王権が
暴走するので、
それに対する
歯止めの理論が生まれてきます。
それが
ホッブズやジョン・ロックなどの
社会契約論などです。
そういう、権力の相互抑止という
発想が
生まれてくるところが
ヨーロッパ史で
大事なところです。
1. 序論:『それから』に映し出される明治期の近代化 本稿は、夏目漱石の小説『それから』を題材に、日本の近代化がもたらした状況と、それが個人の経験に与えた影響について考察するものである。特に、経済的豊かさが生み出す「自家特有の世界」への耽溺と、それが最終的に経済の論理に絡め取られていく過程、そしてテオドール・W・アドルノが指摘する、社会の合理化と精神世界における非合理への慰めを求める人々の傾向を、作品を通して分析する。 日本の明治時代(1868-1912年)は、長きにわたる鎖国状態を経て、1853年の黒船来航を契機に世界と対峙し、驚くべき速度で西洋の制度や文化を取り入れ、「近代国家」への道を歩んだ画期的な時代である 。この時期には、鉄道、郵便局、小学校、電気、博物館、図書館、銀行、病院、ホテルといった現代の基盤となるインフラや制度が次々と整備された 。政府は「富国強兵」や「殖産興業」といった政策を推進し、工場、兵舎、鉄道駅舎などの建設を奨励した。また、廃藩置県や憲法制定といった統治制度の変更に伴い、官庁舎や裁判所、監獄などが建設され、教育制度の導入は学校や博物館の整備を促した 。 西洋化の影響は日常生活にも深く浸透した。住宅様式においては、外国人居留地を起点に西洋館が普及し、やがて庶民の住宅にも椅子式の生活スタイルが段階的に浸透した 。食文化においても、仏教の影響で長らく禁じられていた肉食が解禁され、西洋列強との競争意識から日本人の体格向上と体力増強が期待された 。洋食は都市部の富裕層を中心に広まり、カレーライスやオムライス、ハヤシライスといった日本独自の洋食が定着した 。大正ロマン期(1912-1926年)には、西洋文化と日本独自の文化が融合し、「モガ」や「モボ」と呼ばれる若者たちが洋装に身を包み、カフェで音楽や映画を楽しむ「自由でおしゃれな空気」が醸成された 。経済面では、明治後期から軽工業が発展し、日露戦争前後には鉄鋼や船舶などの重工業が急速に発展し、日本の近代化を加速させた 。第一次世界大戦期には工業生産が飛躍的に増大し、輸出が輸入を上回る好景気を享受した 。 『それから』(1909年発表)は、夏目漱石の「前期三部作」の二作目にあたり、急速な近代化が進む日本を背景に、個人の欲望と社会規範の...
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