2023年6月11日日曜日

宿命

「アドルノ」岩波現代文庫の巻頭だったと思うが、「己自身を理解していない思想だけが、本物である。」て書いてあるんだよね。キザな言葉だと思うんだけど、いま痛感するのは、これは勉強にハマった人間の宿命のような気がする。それを俺が代弁するのは不遜なんだけど、俺こんなに勉強したぜ♪とか、自分の学識に酔っている、というのは一種のナルシシズムで、自分で自分の姿を見ている、ということになる。これが、精神病持ちの俺には堪えられないほどの苦痛。自分で自分を見ている、ということ自体が、苦痛。生きてる以上は、振り向かずに歩き続ける以外の選択肢は存在しない。これが俺の宿命なのかも知れない。あー、でも理性ってそういうもんなんかな。アドルノの思想からすればそうなるよね。理性に目覚めちゃったら、原始のまどろみにはもう戻れない。ファウストで、メフィストフェレスですら近寄れない領域があって、記憶では「母たちの国」とか書いてあるんだよね。少なくともドイツ語圏の理性の捉え方ってのは、そういうもんなんなのかも知れない。

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