暇だったので、
キンドルで
おおたとしまささんの
新書を読んでみた。
非常に読みやすいので、
2、3時間くらいで
読めてしまった。
特に
そこは違うだろ!
とか
ツッコミたいところもなかったし、
内容も
決して薄くはなかった。
教育学的な視点による
裏付けもしっかりしていたと思う。
単純に
「都会の頭のいい学校に通っている生徒は、
塾漬けで
勉強が出来るだけのバカ」
っていうほど
白黒ハッキリした
単純なストーリーでもなかった。
それだけに、
何か
一種の勧善懲悪的な
痛快な読み物、というわけではない。
かといって、
歴史に残るような名著、というほどではないが。
ただ、
読む価値は十分あると思う。
難しいテーマだから、
何か結論めいたことを言うのは
簡単ではない。
塾は塾。
学校は学校。
何か割り切れないものは残るが、
新書一冊で片付けるのは、
土台無理なテーマだ。
ただし、
著者が
日本のエリート教育に対して
抱く懸念は伝わってくる。
代々木に
鉄緑会、という
まさに
この本がターゲットとしている、
都会の高校生なら
知らぬものが居ないほどの
悪名高い?塾が存在するのだが、
都庁で夜景を眺めながら、
鉄緑会を指さして、
「○○くん今あそこにいるのかな?
ミサイル撃ち込みたいよね。」
とか
メタさんが言っていたのを思い出した。
メタさんは
高校生のころ
(本人曰く)
メタルに狂い過ぎて
勉強が疎かになっていたが、
今では
誰も文句のつけようがない
立派な
社会人。
もちろん
鳩さんも。
ふたりとも、
俺が
武蔵に絶望して、
学校を途中でバックレて
電車でどこかに逃避するようになったころ、
放課後一緒に
江ノ島やら逗子やら、
いろいろなところに
日常的に
連れて行ってくれるようになった。
新宿の高層ビル群は、
ほとんど庭と言っても過言ではない。
センターと言えば、
センター試験ではなく、
センタービルのこと。
夜景ソムリエの鳩さんが、
いつも先導してくれて、
今光ったのがどこそこの
灯台だとか、
いま
羽田空港の
新C滑走路に
飛行機が降りるところ、
とか
解説してくれた。
メタさんと鳩さんの会話を聴きながら、
自分は弁論術を学んだと言っても過言ではない。
学問に対する姿勢は、
生物部の後輩の大澤くんに学んだ。
https://www.youtube.com/watch?v=0e4Odk-v3oU
1. 序論:『それから』に映し出される明治期の近代化 本稿は、夏目漱石の小説『それから』を題材に、日本の近代化がもたらした状況と、それが個人の経験に与えた影響について考察するものである。特に、経済的豊かさが生み出す「自家特有の世界」への耽溺と、それが最終的に経済の論理に絡め取られていく過程、そしてテオドール・W・アドルノが指摘する、社会の合理化と精神世界における非合理への慰めを求める人々の傾向を、作品を通して分析する。 日本の明治時代(1868-1912年)は、長きにわたる鎖国状態を経て、1853年の黒船来航を契機に世界と対峙し、驚くべき速度で西洋の制度や文化を取り入れ、「近代国家」への道を歩んだ画期的な時代である 。この時期には、鉄道、郵便局、小学校、電気、博物館、図書館、銀行、病院、ホテルといった現代の基盤となるインフラや制度が次々と整備された 。政府は「富国強兵」や「殖産興業」といった政策を推進し、工場、兵舎、鉄道駅舎などの建設を奨励した。また、廃藩置県や憲法制定といった統治制度の変更に伴い、官庁舎や裁判所、監獄などが建設され、教育制度の導入は学校や博物館の整備を促した 。 西洋化の影響は日常生活にも深く浸透した。住宅様式においては、外国人居留地を起点に西洋館が普及し、やがて庶民の住宅にも椅子式の生活スタイルが段階的に浸透した 。食文化においても、仏教の影響で長らく禁じられていた肉食が解禁され、西洋列強との競争意識から日本人の体格向上と体力増強が期待された 。洋食は都市部の富裕層を中心に広まり、カレーライスやオムライス、ハヤシライスといった日本独自の洋食が定着した 。大正ロマン期(1912-1926年)には、西洋文化と日本独自の文化が融合し、「モガ」や「モボ」と呼ばれる若者たちが洋装に身を包み、カフェで音楽や映画を楽しむ「自由でおしゃれな空気」が醸成された 。経済面では、明治後期から軽工業が発展し、日露戦争前後には鉄鋼や船舶などの重工業が急速に発展し、日本の近代化を加速させた 。第一次世界大戦期には工業生産が飛躍的に増大し、輸出が輸入を上回る好景気を享受した 。 『それから』(1909年発表)は、夏目漱石の「前期三部作」の二作目にあたり、急速な近代化が進む日本を背景に、個人の欲望と社会規範の...
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