1番手っ取り早い手段のひとつは、 移民に 選挙権を与えることではないだろうか。 さんざん搾取ばかりして、 地方自治体の選挙権すら 与えない、 というのでは、 もはや 日本が経済大国ではなくなった 現在においては、 自らの首を締めるだけではないだろうか。 どっちしろ 移民を受け入れずに ほったらかしにしておけば、 日本の人口は絶望的に 縮小していくのだから、 移民の目から見て、 日本に行っても、 搾取されるだけで、 なんの憧れもない、 というのでは、 どうやったって 移民なんか来てくれないだろう。 そうであれば、 いま日本に住んでいる 移民には、 最低限 地方自治体の選挙権ぐらい 与えて然るべきだと思われる。 日本人と結婚して 同化しなければ、 日本において政治に参画することすら許さない、 という態度では、 経済が弱体化する現在において、 日本は 全く魅力に欠ける国と言わざるを得ないだろう。 とにかく、 日本の教育は、 歴史的に、もちろん今現在も含めて、 「貧困」 という問題から目を背け続けている。 明治維新以来の 経済発展にしたって、 台湾、朝鮮半島を植民地化し、 どれほど 多くの 台湾人、朝鮮人を 半強制的に 過酷な低賃金労働で 搾取し続けて来たか、 ということが、 全く語られていない。 そのくせ ナショナリズムに煽られて 排外主義に走るのは、 ひとえに 教育の問題による無知が大きい。 もちろん、 日本人のうちでも、 「2級国民」とでも言うような、 目に見えない 搾取に虐げられる 人びとがいるのだが。 どうせ 「アイツら」に 選挙権を与えたところで 権利ばかり 主張して 財政負担が 増えるだけだ、 というなら、 結局 日本人も含めて 経済格差が拡がり、 貧困問題が 日本社会全体に しっぺ返しを 喰らわせるだけだろう。 経済が振るわないときほど ナショナリズムは高揚しやすいが、 冷静に考えれば、 むしろ 逆の発想をすることが必要だ。 グローバリゼーションによって 誰もが 貧困状態に陥る危険性がある社会だからこそ、 誰に対しても 社会への参画を 可能にするべきだ。 日本人の 「2級国民」は、 そもそも 貧困者のメンタリティーを 社会から 内面化させられ、 自主的に 政治に参画する意欲を奪われているのだ。 なぜなら、 「貧困」は、 社会によって 巧妙に 不可視化されており、 隠蔽され、 彼らは、 ”いない”ことに されており、 従って 日本に 貧困問題は あたかも存在しないかのように 認識されているからだ。 しかし、 繰り返せば、 グローバリゼーション下の現代社会においては、 誰もが 貧者に陥る危険性と 隣り合わせだということを 強調したい。
1. 序論:『それから』に映し出される明治期の近代化 本稿は、夏目漱石の小説『それから』を題材に、日本の近代化がもたらした状況と、それが個人の経験に与えた影響について考察するものである。特に、経済的豊かさが生み出す「自家特有の世界」への耽溺と、それが最終的に経済の論理に絡め取られていく過程、そしてテオドール・W・アドルノが指摘する、社会の合理化と精神世界における非合理への慰めを求める人々の傾向を、作品を通して分析する。 日本の明治時代(1868-1912年)は、長きにわたる鎖国状態を経て、1853年の黒船来航を契機に世界と対峙し、驚くべき速度で西洋の制度や文化を取り入れ、「近代国家」への道を歩んだ画期的な時代である 。この時期には、鉄道、郵便局、小学校、電気、博物館、図書館、銀行、病院、ホテルといった現代の基盤となるインフラや制度が次々と整備された 。政府は「富国強兵」や「殖産興業」といった政策を推進し、工場、兵舎、鉄道駅舎などの建設を奨励した。また、廃藩置県や憲法制定といった統治制度の変更に伴い、官庁舎や裁判所、監獄などが建設され、教育制度の導入は学校や博物館の整備を促した 。 西洋化の影響は日常生活にも深く浸透した。住宅様式においては、外国人居留地を起点に西洋館が普及し、やがて庶民の住宅にも椅子式の生活スタイルが段階的に浸透した 。食文化においても、仏教の影響で長らく禁じられていた肉食が解禁され、西洋列強との競争意識から日本人の体格向上と体力増強が期待された 。洋食は都市部の富裕層を中心に広まり、カレーライスやオムライス、ハヤシライスといった日本独自の洋食が定着した 。大正ロマン期(1912-1926年)には、西洋文化と日本独自の文化が融合し、「モガ」や「モボ」と呼ばれる若者たちが洋装に身を包み、カフェで音楽や映画を楽しむ「自由でおしゃれな空気」が醸成された 。経済面では、明治後期から軽工業が発展し、日露戦争前後には鉄鋼や船舶などの重工業が急速に発展し、日本の近代化を加速させた 。第一次世界大戦期には工業生産が飛躍的に増大し、輸出が輸入を上回る好景気を享受した 。 『それから』(1909年発表)は、夏目漱石の「前期三部作」の二作目にあたり、急速な近代化が進む日本を背景に、個人の欲望と社会規範の...
コメント
コメントを投稿