2022年8月21日日曜日

「グローバル化と金融」@金沢 まとめ (再掲)

現代のグローバル資本主義の構造的問題は、世界的なカネ余り状態である。まず、1960年代に、企業の海外進出に伴い、銀行が国際展開を急激に拡大したことにより、どこからも規制を受けない「ユーロ市場」が登場した。次に、1970年代に、オイル・ショックによるオイルマネーの流入と金融技術革新により、米国の銀行による「ユーロ・バンキング」が活発化する。 変動相場制への移行により、銀行はアセット・ライアビリティ・マネジメント(ALM)を導入。これは、ドル建ての資産とドル建ての負債を同額保有することにより為替リスクを相殺する方法である。たとえば、ドル建て資産を1万ドル保有していた場合、円高ドル安になれば資産は減価し、円安ドル高になれば資産は増価する。逆に、ドル建て負債を1万ドル保有していた場合、円高ドル安になれば負債は減価し、円安ドル高になれば負債は増価する。こうして為替リスクを相殺する。1970年代のオイルマネーの増大と、インフラ投資額の高騰により、特定の一つだけの銀行だけでは融資の実行が困難になり、シンジケート・ローンが発展した。シンジケート・ローンとは、幹事引受銀行がローンを組成し、参加銀行に分売することで、複数の銀行による信用リスクの分散化を図るものである。しかし、シンジケート・ローンにより、信用リスクは分散したが、信用リスクそのものが低下したわけではない。この後の資産の証券化の流れのなかで、ALMの発展によりリスク管理手段が多様化し、デリバティブが登場し、急速に拡大した。

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