2022年8月21日日曜日
華麗なる一族
阪神銀行の頭取である万俵大介、
その長男が、阪神銀行の子会社?
である阪神特殊鋼の専務である、万俵鉄平なんだけど、
万俵鉄平は、
高炉建設のために資金集めに奔走して、
さまざまな困難に直面する・・・
というところを読んでる最中なんですが、
ふと疑問に思ったのは、
なんで資金調達の先が、父親が頭取である阪神銀行も含めて、
ぜんぶ銀行なんだろう?
株式発行とか、社債発行するとか、
なんで直接金融という選択肢を丸っきり考えないんだろう?
なぜ銀行という間接金融のみで資金調達しようとするのか、
不思議だ。
作中で、阪神特殊鋼のアメリカの取引先が、買収されて、
受注がストップしたあたりから
雲行きが怪しくなるんだけど、
逆にいえば、
アメリカでは企業買収というのは普通に行われていた、ということだろう。
そして、冷戦終結とともに、それまで武器開発に向けられていた頭脳が
金融工学に向かい、革新的な金融形態を作り上げた。
話がそれたが、阪神特殊鋼のメイン・バンクである阪神銀行は、
金融再編に対抗して、
上位の都市銀行との合併を目論んでるんだけど、
それだけのため、と言ってはなんだが、
とにかくそのために
娘を嫁がせた大蔵官僚を使って、機密情報を知らせてもらったり、
政界の大物とも姻戚関係を結んだりとか、
ありとあらゆることをやっている。
それはそれで物語としては凄く面白いんだけど、
銀行同士の合併ということになれば、当局が絡むのは仕方ないとはいえ、
直接金融という手段が有効ならば、
こんな平安貴族まがいの無駄なことをしなくても済むはずだ。
真山仁による「ハゲタカ」は、
M&Aって何?を勉強したくて読んだが、
小説の出来としては「華麗なる一族」には遠く及ばないものの、
対比として浮かび上がってくる時世の違いを知るには、適している。
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