2022年7月13日水曜日
アンチ合理主義
民法に馴染めなかった最大の要因かもしれないけど、
なんとなく物心ついた頃から、
人間の私生活を法律で割り切る
ってのが、
しっくりこないと感じていた気がする。
完全に合理的な社会なんて、ディストピア
だと今でも思ってるし、
ましてや
完全な法律があれば完全に合理的な社会が
実現するなどというのは、
大真面目なギャグでしかないと思っている。
そんなことを信じている人は、
少数派だろう。
どんなに理不尽と感じることがあっても、
いきなり法律に訴えて、
解決できる、という感覚は、
少なくとも
日本人では少数派だろう。
もちろん、私法が整備されていない社会なんて、
怖くて住めないだろうが。
かといって、
人間の私生活上の問題すべてが
法律で解決される、などというのは、
滑稽な考えとしか思えない。
つまり、
こういうアンチ合理主義的な自分が
民法を習得するには、
現代日本社会が民法を必要とし、
それを基盤として成り立っている社会だ、
ということを
認識し、
その歴史的経緯まで勉強した上でないと、
民法を
受け付けない、
という厄介な問題があった。
そうすると、やはり明治維新以後の日本史を
勉強する必要があった、ということになる。
もっとも、これはトーマス・マン「魔の山」に
出てくる、
楽天的合理主義者であるロドヴィコ・セテムブリーニ
と
ゴシック的中世主義者のレオ・ナフタの対立に
現れるような、根の深い問題なのかもしれないが。
結局、合理主義に傾き過ぎるのも危険だし、
その逆もまた然り、ということなんだろう。
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