2022年6月2日木曜日

中東の政治レポート(提出期限切れ)

2003年のフセイン政権崩壊後のイラクは隣国イランの強い影響下にある。イラク戦争後の同国はたびたびイランと米国の衝突の舞台になった。米軍はイラクでの戦闘任務を終了させた。8月に完全撤収したアフガニスタンからイランを偵察することもできなくなった。東西両隣からの圧力から解放されたイランはほくそ笑む。イランの台頭を抑える成果のないまま、米国は隣国からにらみを利かせるテコを失いつつある。断交状態にあるサウジアラビアもイランとの水面下の交渉を始めた。イランは対米強硬路線に自信を深める。米国のトランプ前政権が一方的に離脱したイラン核合意への復帰交渉では、ライシ政権が強硬な対応に出て議論がかみ合わない。後ろ盾となっているのは中国、ロシアだ。気候変動問題に対応するため世界は脱炭素化へ急速にかじを切る。イラクでは米エクソンモービルや英BPが事業縮小の構えをみせている。イラクの石油相は7月、ペルシャ湾で計画する製油所と石化プラントの複合施設を中国化学工程集団が建設すると発表した。ロシアはイラクの西隣シリアでアサド政権を支え、基地の長期租借など権益を確保済みだ。兵器や原発輸出を通じ中東アラブ諸国との関係緊密化を進める。米国が中東での軍事的関与を減らすのは、アジアに力を振り向け台頭する中国への対抗に集中するためだったはず。しかし、その戦略の見直しが中国やロシアを利する皮肉な構図が浮かび上がっている。

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曽根崎心中 (再掲)

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