2022年3月6日日曜日

象徴の設計

軍人勅諭は、最初、西周が起草していて、カントの永久平和論を知っていながら、我々の生きる世界はまだその前の段階だから、戦争は避けられない、などと書いていて、理屈はそれなりに通ってるんだけど、山県有朋が考えたのは、徴兵されてくる連中は、そんな考える頭を持ってるわけじゃないし、特に、竹橋事件のように、近衛兵が給料のことで暴動を起こすような事態を見るにつけ、もっと、天皇が直に兵隊一人一人に、頭ごなしに問答無用で命令するような調子でなきゃダメだ、といって、福地源一郎に手直しさせるあたりが、リアリティーがあった。 その一方で、自由民権運動が兵隊の中に入り込むことを執拗に警戒し、とにかく兵隊は考えるな、ただ従え式に軍人勅諭を仕上げたのが印象的だった。 旧日本陸軍の、上官の命令絶対、超パワハラ体質の源流がここらへんにありそうだね。

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