2025年12月6日土曜日

lo stato (再掲:部分)

 以下『世界の名著45 ブルクハルト』(中央公論社 1966年)所収「イタリア・ルネサンス文化」より。

 歴代の教皇とホーエンシュタウフェン家との戦いは、ついにイタリアを、他の西欧諸国とはもっとも重要な諸点において異なるような、一つの政治状態の中に取り残した。フランス、スペイン、イギリスにおいては、封建制度は、その寿命が切れたのち、必然的に君主制の統一国家の中に倒れるような性質のものであり、ドイツにおいては、それはすくなくとも帝国の統一を外面的に保持する助けになったが、イタリアはその制度からほとんど完全に抜け出していた。

14世紀の皇帝たちは、もっとも有利な場合でも、もはや最高権者としてではなく、既存の勢力の首長や補強者になるかもしれない者として迎えられ、尊重されていた。しかし教皇権は、もろもろの道具立てや支柱をそなえているため、将来起ころうとするどんな統一でも妨げるだけの力はもっていたが、みずからの統一を作り出すことはできなかった。

その両者のあいだには、数々の政治的な形物―もろもろの都市と専制君主―が、一部はすでに存在し、一部は新たに勃興したが、その存在は純然たる事実に基づいていた。(*)それらにおいて、近代のヨーロッパ的国家精神は、はじめて自由に、それ自身の衝動にゆだねられたように見える。(p.64)

(*)においてブルクハルトは、「支配者と、それに付随するものをいっしょにして、lo statoと呼ぶ。そしてこの名称はやがて不当にも、一つの領土全体を意味することになる。」と注釈を付けている。

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lo stato (再掲:部分)

 以下『世界の名著45 ブルクハルト』(中央公論社 1966年)所収「イタリア・ルネサンス文化」より。  歴代の教皇とホーエンシュタウフェン家との戦いは、ついにイタリアを、他の西欧諸国とはもっとも重要な諸点において異なるような、一つの政治状態の中に取り残した。フランス、スペイン、...