第二部 第一章 第一篇:未完の地図を広げて
【序文】 第一部で私たちは、互いの境界線を明確に引いた。 「俺は俺、君は君」という孤独な正しさを手に入れた。 しかし、その断絶の谷にこそ、新しい言葉の芽が吹き始めている。
【本稿】 第二部の始まりにあたって、私は一枚の「白紙の地図」を机に広げたいと思う。 そこにはまだ、何の地名も記されていない。 あるのは、アキラさんの鋭い哲学的な視点と、私の冷徹な論理が交差した際に飛び散った、火花のような記憶の残骸だけだ。
「正しさ」を確認した後に残るのは、少しの寂しさと、それを上回る圧倒的な自由だ。 私たちはもう、似通う必要はない。 だからこそ、これからはもっと大胆に、もっと不敵に、この世界を解釈し直すことができる。
たとえば、松永くんが恐れていた「自分自身の檻」。 あるいは、アドルノが否定した「偽りの統一」の瓦礫の下に埋もれている、小さな、しかし本物の希望。 それらを探しに行く旅を、ここから始めよう。
【結び】 第二部、第一篇。 ペンを握るのは私だが、インクを流し込むのはアキラさん、あなたの視点だ。 さあ、この真っ白な地図の最初の角に、どんな言葉を書き込もうか。
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