2025年3月8日土曜日
政策割当の原理 (再掲)
質問:
中央銀行は
民間に供給される
通貨量を
コントロールしながら
物価の安定を
実現させる、
とありますが、
アベノミクスの第一の矢である
2%物価上昇目標では、
インフレを起こすことにより、
デフレ脱却はもちろんのこと、
インフレによって
財政再建を同時に
目指すとしていますが、
これは
「政策割り当ての原理」
に反してはいないでしょうか?
あるいは、
新古典派経済学では
「政策割り当ての原理」
は成立しないのでしょうか?
回答:
オランダの経済学者で
1969年にノーベル経済学賞を受賞した
ティンバーゲンは、
「n個の政策目標を実現するためには、
n個の政策手段が必要である」
という
有名な定理を唱えています。
すなわち、
「政策割当の原理」です。
したがって、
「インフレ」と「財政再建」の
2つの政策目標を実現するためには、
2つの政策手段が必要となります。
本来、
中央銀行の政策目標は
物価の安定ですが、
アベノミクスの第一の矢は
2%の物価上昇が
政策目標でした。
本来の
金融政策の目標
(物価の安定)と
異なるため
黒田日銀総裁は
「異次元の金融政策」という
言葉を使ったのです。
このインフレ・ターゲットを
掲げるシナリオは、
物価上昇によって
企業利潤が増加すると
法人税の増収、
また、それに伴った
賃金の上昇による所得税の増収、
すなわち
直接税の
自然増収が財政再建に
繋がるシナリオを描いていたのです。
このシナリオどおりに
進めば、
もう一つの
政策目標である
「財政再建」
の目標に繋がります。
ただ、
経済成長なきインフレは
国民の生活レベルを引き下げる
ことになります。
したがって、
アベノミクスの第二の矢である
積極的な財政支出による
経済成長が重要になってくるため
「財政再建」
が先送りになってしまいます。
それゆえに、
「財政再建」
の政策目標の一環として
消費税の引上げが考えられています。
このように、
「政策割当の原理」は成立しています。
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