2023年3月19日日曜日

則天去私

この四語を見ると、 いかにも 私を滅却して 天に従え、 みたいな 堅苦しい イメージを 持ってしまう ひとは 多いのではないかと 思ってしまうが、 実は そういう意味ではない と 思っている。 やるだけやったら、 あとは 野となれ山となれ、 自分で 全部 どうにかこうにか 出来る、 などと 思うのは 傲慢だ、 そんな メッセージに聞こえる。 ある意味では、 ガチガチの 決定論から、 偶然へと 自らの運命を 托す、 そんな風にも 感じる。 「こころ」は、 すべての 状況を まるで 実験室のように ガチガチに 設定して、 ほんのわずかな エゴの一突きが、 まるで ビリヤードのように 全員を不幸にする、 といった 体だが、 遺作となった 「明暗」(未完)では、 明確な筋立ては ないものの、 漱石自身が ストーリーの成り行きに 身を委ねている、 そんな印象が強い。 少なくとも、 「こころ」とは 全く違う作品だ。

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