菜根譚
「正解」という言葉は、耳に心地よいけれど、どこか他人の匂いがする。
最短距離で、最小の労力で。
そうやって導き出された答えをなぞる日々は、便利ではあるけれど、
自分の人生を生きているという実感を、少しずつ削り取っていく。
誰かが整備した舗装道路を歩くとき、人は足元ばかりを見て、
空の色を忘れてしまうものだから。
けれどそこに、たった一滴、「希望」という名の不純物を垂らしてみる。
それは客観的な正しさを壊す、あまりに主観的な、わがままな一滴。
しかし、その瞬間に風景は一変する。
乾いた砂のような「正しさ」の集積が、
潤いを帯び、形を変え、私だけの「物語」として脈打ち始める。
ただの天体の位置に過ぎなかった「北極星」が、
私にだけ行き先を教える、唯一無二の光として輝きだす。
確かなものなんて、何ひとつない。
それでも、自分で灯した光だけは、裏切らない。
世界がどんなに「正解」を求めても、
私は、この頼りない「物語」と共に歩いていこうと思う。
暗闇を照らすのは、いつだって効率ではなく、
心の奥底に秘めた、青い熱量なのだから。
今夜も、静かな夜に。
あなたの物語に、乾杯。
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