政治学入門(’26) 放送大学印刷教材より (再掲)

 ネオリベラリズムにおいては、市場の自動調整機能を全面的に信奉することで、可能な限りあらゆるアクターを経済的な競争者に、積極的に変えようとする。したがってネオリベラル達は、あらゆる人間関係を競争関係にしようとする傾向を持つ(かかる政策は、福祉国家政策と同様に、個人の生への政治的介入であるとさえいえる)。

 

この点で、社会主義が自由主義のなかに認めた、人間と人間とを疎遠にする傾向が強化されており、それは格差社会の蔓延という仕方で現れているとしばしば指摘される。

 

こうした自然的社会性や連帯の欠如を補うために、ネオリベラリズムは自由主義なら抵抗するような保守的な価値、例えば伝統的な家族主義や宗教的原理主義等と結びつく傾向がある。

 

こうした個人の分断という問題は、ネオリベラリズムのイデオロギーにおいては「自己責任」の倫理として表れる。

 

これは、福祉国家が生み出すとされる依存的な個人を批判するものであり、一種の倫理的な人間観ではあるが、社会関係のなかで人間本性が開花するとする、つまり人間の在り方は容易には認識できない仕方で社会関係のなかにあることを認めるという、ニューリベラリズムが持つ重要な要素に真っ向から対立する考え方である。

 

そしてこれは、人間は相互に依存するという一般的事実にも反する人間観でもあった。 

 

放送大学「政治学入門(’26)」第7章126,127ページより


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