菜根譚

迷子になれる場所を、ずっと探していた気がする。

カレンダーの数字に追われ、

誰かの評価という、実体のない風に背中を押されて。

私たちはいつのまにか、自分の足音さえ忘れてしまった。

ふと、立ち止まる。

錆びた看板。

夕暮れに染まる、名もなき坂道。

そこには、世界が決めた「時間」なんて、どこにもなかった。

一時間を、効率という言葉で切り売りするのは、もう終わりだ。

これからは、自分のためだけに「刻」を使おう。

賑やかな場所から、少しだけ距離を置く。

それは、孤独になることじゃない。

自分という「個」の輪郭を、もう一度、確かめるための作法。

昨日の自分に、義理立てはしない。

明日の自分を、今から縛りもしない。

揺れる暖簾の向こう側に、

ただ、透明な「今」が重なっていく。

一刻、また、一刻。

私は、私を、生きてみる。

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