「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」 村上春樹 文春文庫

 



さすがは村上春樹。

読まされるね。

ネットであらすじだけ知ると、そんなに大した内容でもないかのように感じてしまうけど、実際に読んでみると、結構重厚感があって、読み応えがある。

むしろ、心に傷を隠し持っている人のほうが、読む価値があるのではないか。

・・・妙に長たらしいタイトルも、読み進むに連れ、伏線として回収されていくのが凄い。

これは、本当に心に傷を負って、それを隠して生きているひとのために書かれた本なんじゃないか、という気がしてくる。

・・・なにやら、本当に人間の一番深い根源的なところに訴えかけてくるような話だ。

これは、これまでの村上春樹の作品とは、次元の違うレベルの深さだ。

・・・おおお、これは本当に凄い一冊だ!

これぞまさに文学の真骨頂!

・・・気晴らしに、韓国KBSラジオを2,3分聴いてみた。

さすがに20年も勉強してれば、だいたい何を言ってるかぐらいはわかる。

カネのかからない気晴らしは、貴重だ。

・・・半分くらいは読んだ。

結構カタルシスあるね。

俺も、20年、あるいはもっと長い時間、十字架を背負って生きてきたのかも知れない。

もちろん楽しい時期もあったが、孤独な時期もあった。

完全に解放されたわけではないにせよ、今見えている景色は、あまりにもありきたりで、ちょっと興ざめするくらいだ。

・・・ちょっと先をザッと読み進めてみて、ああ、やっぱりね、という既視感。

「1Q84」の時と同じパターンね。

前半は、ちょっと「海辺のカフカ」っぽいところもあった。

やっぱり、いくら村上春樹といえど、お決まりの「型」というものがあるらしい。

でも、後半どんな展開に持っていくのかが、見もの。

・・・中盤まで読んだ。

アオとアカの話が、妙にリアルで世知辛いな。

いや、ほんと世知辛いよ。

こんな話だったのか。

今日はここら辺にしておこう。

1日で三分の二は読んだはずだ。

お楽しみは、明日以降に取って置こう。

多崎つくるが、「色彩を持たない」ということが、どういう意味なのか、きっと後半になって、重要なポイントになってくるんだろう。

・・・一眠り。

なんか、ちょっと驚くぐらい、心の中のアミロイドベータが排出された感じだね。

つまり、うまく排泄できなかった、心に溜まっていた澱のような、ドロドロしていたものが、出ていった感じ。

・・・さあて、多崎つくるが、クロ(エリ)に会うためだけに、わざわざフィンランドまで来て、クロ(エリ)に再会しました、と。

こっからどう話が展開されるのか、が興味津々。

ふと思ったけど、村上春樹って、読者を最後まで引っ張るのが上手いよね。

自分、基本的に小説に限らず、本を最後まで読み切るって、滅多にないんだけど、気づいたら、村上春樹だけは、最後まで読まされるよね。

そこらへんは、マジでうまい。

ここまででも、結構メンタルの排泄が出来たけど、最後まで出し切りましょう!

・・・女って、めんどくせえな。

友人で、男の子が2人いる人がいるんだが、彼の奥さんいわく、自分が女だから(⇚そりゃそうだ)、女のめんどくささがわかるから男の子がいい、と言っていたら、めでたく男の子が2人産まれた。

案外そんなものかも知れない。

俺にとっては女性というのは謎そのものだが、(まだ読み終わっていないが)この小説で、女性は女性で特有のめんどくささがある、というのは理解できた。

過去と決別したわけではないし、そうするつもりもないけど、かなり精神的な排泄はできたと思う。

ありがとう、村上春樹。

最後まで読むよ。

・・・いよいよ、最終盤だ。

おそらく、どんな人の人生も、それだけでは完結しないのだろう。

それが、健康的であれ、不健康的であれ。

自分は、エリに諭される前の多崎つくるのように、実のところ自分の奥底の冷ややかな部分だけを見ていた。

正直、他の人も抱える、「冷たい芯」のようなものまでには、思いが至らなかった。

自分がテンパっているときに、どうするか、実はそのことだけを考えて生きてきたのだろう。

そんなことに、気付かせてくれた。

つまり、大事なことは、俺自身の人生が、俺自身で完結していなくても、それは必ずしも「依存」ではない、ということだ。

それがどんなに不合理なことに見えたとしても。

人生は複雑な楽譜のようだ、とつくるは思う。十六分音符と三十二分音符と、たくさんの奇妙な記号と、意味不明な書き込みとで満ちている。それを正しく読み取ることは至難の業だし、たとえ正しく読み取れたとしても、またそれを正しい音に置き換えられたとしても、そこに込められた意味が人々に正しく理解され、評価されるとは限らない。それが人を幸福にするとは限らない。人の営みはなぜそこまで入り組んだものでなくてはならないのだろう?


・・・読了。

素晴らしい作品だった。

重厚感もあって、ラストも変にファンタジーに逃げることもなく。

自分自身にとっても、大変有意義な1冊だった。

これまでの人生を振り返り、咀嚼し、腑に落ちるまで整理するうえで、最高の教材だった。

ありがとう。

村上春樹。 

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