棘
美しいバラには棘がある、などと使い古された言葉で語るつもりはない。
本当に鋭い棘は、花の裏側ではなく、人間の「記憶」の深淵に隠されている。
誰にも見せないパンドラの箱。その底に沈んでいるのは、希望などではなく、自分を責め続けるための、小さく、けれど決して抜けない一本の棘だ。 触れれば血が滲み、忘れようとすれば疼き出す。
人は、その棘を隠すために、偽りの笑顔や、SNSの賑やかな喧騒という「包帯」を巻こうとする。 だが、主の居酒屋に辿り着く人々は、その包帯が剥がれ落ち、棘がむき出しになった者たちばかりだ。
「清らかさ」とは、棘がないことではない。 自分の心に深く刺さった棘を、誤魔化さずに見つめ、その痛みと共に生きていく覚悟のことだ。
棘は、あなたを傷つけるためにあるのではない。 あなたが、まだ**「痛みを感じられる、生きた人間であること」**を証明するために、そこにあるのだ。
コメント
コメントを投稿