ドゥルーズ入門 ちくま新書 檜垣立哉

 


必要に迫られて、読み始めた。

まさかドゥルーズを必要に迫られて読む日が来るとは思わなかった。

なに言ってんのかよくわからないが、なんとなく言いたいことは伝わってくる。

文体がオシャレ。

決して、堅苦しい本ではない。

とりあえず「差異と反復」のドゥルーズ的概念は最低限理解しないと。

ドゥルーズは、「差異」という概念を、単なる言葉遊びでなく、現象学はもちろんのこと、いわゆる(数学的な)「微分」と結びつけて、論じているようだ。

ラプラスやライプニッツも読んでみたくなった。

・・・微塵もチャラくない。

仲正昌樹さんのドゥルーズ本を読んでいないと、なに言ってんのかわからないかもだが、ぐいぐい読まされる。

檜垣さん・・・かなり凄いひとだ。

一晩で分量的には三分の一ほど読んだ。

ドゥルーズがなにを言いたいのか、ちょっと分かってきた。

説明するのはめちゃめちゃ難しいが。

たぶん、ドゥルーズ(⇐もう亡くなっているが)からすれば、いま現在の日本の政治状況それ自体が、ある意味権力構造としては(あくまでドゥルーズ的文脈で)理想的なんじゃないか、と思う。

今上天皇という弱い象徴がいらっしゃって、石破首相という、これまた空虚な政治トップが居つつも、その空虚な中心の周りを、さまざまなアクターが衛星のように廻る、という、めちゃくちゃ「リゾーム型」の政治的力学の構造が。

ドゥルーズが「リゾーム型」と対比する「ツリー型」の、強いトップが居て、その強いトップを頂点とした、上意下達(に見える)権力構造に、ノスタルジックな理想を見る人も多いだろうが、実はそういう政治構造が、暴走すると結構ヤバいことになる、というのが、ちょうど満州事変以降くらいの日本の国家主義の歴史が典型例なんじゃないか、と思う。

美濃部達吉の「天皇機関説」が通説だったにも関わらず、国家主義的憲法学者によって排撃されたことが、割とストレートに強力な「ツリー型」国家を作り上げた歴史を、また繰り返そうとしている。

戦前の日本でも、実はそんなにガチガチの上意下達的組織ではなかった、というのは、歴史をちゃんと勉強すれば、わかることだ。

参政党がこれだけ勢いがあるのは、ただただ無知なんだと思う。

歴史修正主義以前に、歴史、哲学、政治学などの、いわゆる「文系」の教育を疎かにした結果だと思う。

だから、現在の日本の統治システムの「しちめんどくささ」が単に言葉通りの意味としてしか受け取れないのだろう。

だから、「ワンピースみたいな政治をしよう」という言葉に、拍手喝采を送ってしまう。

それは、ただただ政治学というものが全くわかっていないのだ。

・・・睡眠時間も含めて、およそ1日で全体の半分くらいは読めた。

難解なことを書いているようで、実はすごく読みやすい。

結構な名著だと思う。

新書1冊でなにが分かるんだ?と思っていたが、これはバカに出来ないわ。

相変わらずちくま新書はいい仕事しますね。

・・・とりあえず、「差異と反復」という概念に関して、さしあたって必要な理解は出来た。

結局半分くらいしか読んでないんだが、仲正昌樹さんのドゥルーズ本は読んであるから、それなりの理解のレイヤーは出来た。

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