2024年5月13日月曜日
レポート予備
行政法の概念に、「行政指導」と呼ばれるものが存在する。行政は、本来「行政行為」と呼ばれる、命令する主体としての行政と、名宛人の市民との主体・客体関係がハッキリしている手段で運営されるべきものだが、「行政指導」という、極めて日本的な、主体・客体関係が不明瞭な手段が、行政の運営上横行している。もっとも、行政指導それ自体が問題なのではなく、行政指導が、本来強制力を伴わないものであるはずなのに、従わなければ往々にして市民が制裁を加えられることが、常態化しているという現実がある。また、それに留まらず、行政指導が医療のあり方に絶大な影響を与えている。どういうことか。日本の医療制度において、ある一定の地域に、十分な病床数が確保されている場合、新規に医療業者が参入しようとするとき、保険適用が受けられず、自由診療で開業せざるを得ない、という現実が、行政指導によって正当化されている。これは明らかに既存の病院の権益を守り、新規参入者を不当に排除している。問題はこれに留まらない。特に精神医療において、1950年代にフランスで画期的な抗精神病薬が開発され、欧米先進国では病床数が減っていったにも関わらず、日本では逆に病床数が増えた。これは、戦後、精神病患者を建前上しっかり治療しようとの方針から、精神病院の数が増えたからである。そこで、戦後、精神病院が増設される際、一定の範囲で病床数を確保してしまえば、地域の患者を独占できてしまう、という経済的合理性によって、精神病院が往々にして大規模化したことが推測される。言わずもがな、これは行政指導によって、いったん多くの病床数を確保してしまえば、新規参入者を排除できることが、精神病院の大規模化を促したと容易に考えられる。そして、現厚生労働大臣が、戦後日本の医療制度を構築した武見太郎の息子である武見敬三である現実では、これが改められる可能性は極めて低い。
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