ルカーチ メモその23

もしもルカーチの考察が ここまでで、 教養小説を讃えることで 終わっていたなら、 たんなる ご都合主義的な 折衷にとどまってしまっただろう。 それを扱った 最後の節は、 紙数も少なく他の箇所と 比べて 説得的とは 言いがたいが、 ルカーチが 指し示そうとしていたことがらならば 判る。 彼によるなら、 トルストイにあっては、 文化と自然がまったく 断絶した層をなしている 点で、 自然もが文化でしかない 西欧世界と分かたれる。 トルストイによって 描かれた 自然のなかに、 ルカーチは 小説の世界を 突き抜ける あらたな 叙事詩への ひとつの 可能性を予感する。 だがそれは同時に、 予感にとどまるもので あることも 確言されていた。 212ページ

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