2023年8月12日土曜日

ルカーチ メモその17

というのも、彼が こうした 距離感を 保った 冷徹な まなざしを もっていたからといって、 そのような 時代の風潮の飛沫を 彼自身 まったく かぶっていなかった、 ということでも ないように 思えるからだ。 というよりむしろ、 そのあまりの 深みに 身を 浸しきって いたために、 国家間戦争というような 次元には 与しないですんだ ともいえる。 それは 後半部での <英雄精神> についての記述 にも 擬せられるような 態度、 すなわち <物象化> へと、 結局のところ 収斂してしまう ことへの 反撥と 表裏一体だ。 このなかで そうとは 露骨に 書かれている わけではないが、 平準化、 民主主義的 平板化 への 嫌悪感の 表白ともいえるだろう。  つまり、 日々同じことが 繰り返されている 千篇一律なる 日常を切り裂く、 そんな力が 期待された <戦争> が、 結局のところは、 そこに 額ずき 従う者どもを、 部品のひとつとして 消費してゆく、 これまた 同じことの 繰り返しが 行われている、 という 判断だ。 172ページ

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曽根崎心中 (再掲)

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