ルカーチ メモその17
というのも、彼が
こうした
距離感を
保った
冷徹な
まなざしを
もっていたからといって、
そのような
時代の風潮の飛沫を
彼自身
まったく
かぶっていなかった、
ということでも
ないように
思えるからだ。
というよりむしろ、
そのあまりの
深みに
身を
浸しきって
いたために、
国家間戦争というような
次元には
与しないですんだ
ともいえる。
それは
後半部での
<英雄精神>
についての記述
にも
擬せられるような
態度、
すなわち
<物象化>
へと、
結局のところ
収斂してしまう
ことへの
反撥と
表裏一体だ。
このなかで
そうとは
露骨に
書かれている
わけではないが、
平準化、
民主主義的
平板化
への
嫌悪感の
表白ともいえるだろう。
つまり、
日々同じことが
繰り返されている
千篇一律なる
日常を切り裂く、
そんな力が
期待された
<戦争>
が、
結局のところは、
そこに
額ずき
従う者どもを、
部品のひとつとして
消費してゆく、
これまた
同じことの
繰り返しが
行われている、
という
判断だ。
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