2023年8月12日土曜日
ルカーチ メモその10
それに対して、
どのような芸術作品であれ、
それを
享受する者がおらず、
抽斗なり
密室なりのなかに
人目に触れずに
あるかぎり、
芸術的感動も
なにもあるわけはない。
それにとどまらず、
制作者は作品が
どのように
受け入れられるのかを
先取りしている
場合もあろうし、
同じ作品が
時代によって
まったく
違った
評価を受ける
こともある。
どこに力点を
置くかはともかく、
作品が人によって
鑑賞され
受け入れられる、
という
側面に着眼した
<受容美学>
というものも、
他方で考えられる。
しかし
ルカーチの端緒は、
このいずれにも
つかないところで
開かれる。
つまり、
彼の考える
<美学体系>
にとって、
芸術作品の生産者、
あるいは
受容者といった
人間主体は
括弧に入れ、
芸術作品が
現に
そこにある、
という事実性を
出発点に据えるべき
ものである、
ということだ。
この発想の裏には、
『魂と形式』
に
即して
<形式>
概念としてみたのと
同様な発想、
つまり、
現実の生は
疎外されているが、
美の領域は
その汚染から
免れた
自立的な
価値領域として
存しうる、
という
考えがあった。
そのときすでに、
作品を
<生の客観化>、
<体験の表現>
と
捉え、
その理解、
追体験が受容者の態度、
と
考える
ディルタイ流の把握からは
すっかり脱している。
<体験>
と
直結させて
考えるには
作品はあまりにも
自律化し、
それ自体の
<生>
を
獲得している
からだ。
154~155ページ
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