2022年12月7日水曜日

MUROMACHI

「室町将軍の権力ー鎌倉幕府にはできなかったこと」(朝日文庫 本郷恵子) を読んでます。 本郷和人先生の奥さんであり、 職場の上司でもあるそうです。 文庫本だから 高くないし、 内容も 読みやすい。 旦那さんが 鎌倉時代を専門としていて、 奥さんは 室町時代の専門家であるようですね。 本郷和人先生の 「北条氏の時代」も いい本でしたね。 値段から言っても、 内容的にも コスパ抜群でした。 日本中世史がわかんねー、と モヤモヤしていた原因がやっと わかったんだが、 いわゆる ご恩と奉公っていう関係で、 具体的には 土地を安堵してもらうことがご恩なわけだけど、 結局それってお金に換算するといくらなの? というのがわからなかった。 と、いうのは、 具体的に金額に換算してもらわなかったら ご恩が具体的にどれくらいに相当するのが わからないじゃないか、 と(漠然と)思っていた。 しかし、これは ある意味愚問だった。 なぜなら、 明治期の地租改正まで、 土地の価値は 基本的に 米の収穫量で決まっていたのだから。 そして、 江戸時代においては、 わざわざ 農民から徴税した米を、 金銭に替えて武士に俸給していたのだから、 現在と同じ感覚で 捉えてはいけない。 とはいえ、 鎌倉時代でも、当然のごとく 土地のランク付けというものは あったのだろうから、 金銭以外の方法で 評価していたのだろう。 それはやはり、土地の収益力、ということになるんだろう。 ここで勘違いしてはならないのは、 鎌倉時代に、 ちょうど モンゴル帝国に南宋が滅ぼされると、 大量の宋銭(銅銭)が日本に流入し、 未発達ながらも 貨幣経済が浸透し始めたこと。 室町時代にはさらに 土倉などの 金融業者が発達することは 周知の通りだが、 それは この本を読み進めてから考えよう。 とはいえ、 「北条氏の時代」を 読んだ限りでは、 土地の売買も普通に行われていたし、 対価が貨幣だったかまでは記憶にないが、 そもそも 鎌倉幕府の存在意義の柱のひとつは、 武士の土地争いを、 裁判をちゃんとやって確定させることにあったのだから、 単純に ご恩に報いていただけ、とは到底言えないだろう。 こうやって 地道に文献を読んで、 粘り強く 積み重ねていって、 わかった! と思えるのが ガクモンの醍醐味ですね。 ・・・うーむ。 これは大変な本だぞ。 室町時代の核心を突いている。 この内容が 1000円もしない値段で手に入るのは、 良心的としか 言いようがない。 ・・・こりゃ800円の内容じゃないよ。 質・分量ともに、 相当な覚悟で読まないと、 軽い気持ちで 読んだら 大変なことになる。 相当気合い入れないと。

0 件のコメント:

コメントを投稿

曽根崎心中 (再掲)

愛という感情が日本の歴史上にも古くから存在していたことは、 源氏物語にも書かれていることで、わかる。 しかし、 日本の宗教観念には、愛を裏打ちするものがない。 改行(節目節目で改行がある方が効果的。以下、同じ。) 曾根崎心中は、 男が女郎をカネで身受けしようとするが、...