2022年12月12日月曜日

「ファウスト」を深読みする

待ちに待って、 やっと届いた。 明月堂書店は 初めてだけど、 書籍って、 出版社によっても 個性がぜんぜん違うよね。 あと、 本の作りも。 ちょっと読んでみた感じ、 作品社の 「○○入門講義」系の パワーワードが ズバーン!ズバーン!と 出てくる感じとは違って、 著者の ほっこりした感じが 伝わってくるような、 売れることよりも、 長く愛されることを 狙っているような、 そんな感じですね。 装丁の感じからいうと、 紙が柔らかくて、 綴じがしっかりしているので、 あまり ページ数が多いと、 かえって 読みにくいですね。 まあ 御託はいいから、 読んでみましょう。 ・・・うん。 面白い。 さすがナカマサ先生。 期待を裏切らない。 ・・・まだ途中なんだけど、 ゲーテ以来の ドイツ文学・哲学における 「母胎回帰」のイメージ というのは、 ほんとに 理性以前の世界、 こんなこと言うと陳腐な表現なんだけど、 読んでるうちに、 夏目漱石の「それから」の 代助が百合にむせぶシーンと、 すごく 通底するものを感じる。 森本先生が、 それを 三千代との姦通への決意、つまり スプリングボードとした、 と 仰るのと、 とても 平仄を合わせている感じがする。 実際、 ファウストは メフィストフェレスと「契約」を 結んでやりたい放題やるわけだからね。 この一冊には、 ゲーテ以降の ドイツ的思想の エッセンスが詰まっている感がある。 尤も、 自分の現代ドイツ思想のほとんどを、 ナカマサ先生の著作から 得ているのだから、 ある意味当たり前かも知れないが。 ・・・よっしゃー!!! とりあえず、ここまでは 今日中に読まないと、 眠りたくても眠れない、 ってところまでは 読み終えた。 今まで たびたび 仄めかされてはいたが、 ハッキリと わかりやすい形で 表明されて来なかった、 ナカマサ先生流の 「貨幣論」が 明快に展開されていて、 腑に落ちた。 そんなに アクロバティックな話じゃないけど、 これを書くために、 アドルノやら、 「アンチ・オイディプス」やら、 色んな紆余曲折を経て、 ようやく こんなシンプルなことが 書けるんだな、 と 頭が下がるわ。 と、いうか ナカマサ先生とにかく頭いい。 逆に、 こんなに頭よかったら、 細かいことが気になりすぎて 生き辛いんじゃないかと 正直心配になってしまう。 まあ、 だいたい哲学やる人間てのは ひねくれものだけど。 まあいずれにせよ 今日はこれで 安心して眠れるわ。 ・・・おはようございます。 さて、続きを。 昨日読んだ段階では、 仄めかす程度だった 「理性以前=母たちの国」という テーマが、 「ファウスト」の文脈に沿って 解説されていますね。 あ、なんかクリステヴァの議論があったな。 社会を成り立たしめるためには、 秩序や合理性が必要なわけだが、 その背後にある 主観ー客観の区別 (英語で言えばsubject/object) に収まりきらないもの、 クリステヴァによると abject(造語)を 抑圧し、ないものとする ことが 要求される。 みたいな。 これはモロに アドルノに 絡んでくる話ですね。 ・・・・よっしゃー!!!読了した!!!!!!!! 「貨幣」と「母なる国」との 関係性も明らかになったし、 これまでの ナカマサ先生の著作の 集大成的なものを感じた。 俺もなぜかしら、 今までの人生が 走馬灯のように 蘇ってきた。 ごちそうさまでした。 感謝。 ・・・長い旅だった。 研究会で、 グローバリゼーションに絡めて 「疎外」がどうのこうのと プレゼンして、 集中砲火浴びて、 その後 措置入院食らう羽目になって・・・・ って、 この話は何度もしてるから 省くけど、 とにかく 普通の意味の経済学も 常識レベルではわかるし、 「疎外」とか そっち方面の 話も わかるようになった。 とりあえず 自分の 学問的探求も 一区切りついた。 https://www.youtube.com/watch?v=tAGnKpE4NCI

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