2022年3月6日日曜日
圧力団体と経済
結局、強力な圧力団体を組織して、政治的権力を持ってる、農協とか日本医師会みたいな業界の利益は護られて、中小の小売り業者みたいな、強力な圧力団体を組織できない業界の利益は護られない、というのが、日本のみならず、今のグローバル経済の実態だろう。
そもそも本来的に圧力団体ってそういうもんだけど。
とはいえ、中小企業は価格協定を結んでいいとか、実際には優遇措置もあるらしいけど。
しかしながら、大企業の2次、3次下請け企業とかは、競合する他の下請け企業との熾烈な価格・品質競争をさせられているから、実はポテンシャル高いし、こういう下請け制度による厳しい競争が、日本の高品質低価格製品を支えてきた。
しかしながら、こういう下請け制度は、業界によって違いがあって、ユニクロみたいな、労働集約的な企業は、低賃金の労働力を求めて、次から次へと、世界的に工場を移転できるとも言える。
製造業も、東南アジアや東欧に工場を展開して、日本国内の労働生産性の高いノウハウを現地工場に植え付けて、活用している。
しかしながら、日本国内の派遣工場労働者も、雇用の調整弁にさせられている、という現実がある。
そういう労働者からすれば、政府に、現金給付などの財政拡張的な政策を求めるのも納得できる。
結局、雇用形態を流動化させた結果、かえって財政を拡張させる結果になった点もあるのではないか?
少なくとも日本を事例とすると、少子高齢化により、資本が海外へ流出したとも言えるが、グローバル経済という環境下で、資本移動の自由が担保されている状況では、日本のみならず世界各国の金融政策の自由度が制限されている、とも言える。(国際金融のトリレンマ)
これはまた、ダニ・ロドリックの説に従えば、グローバル化を受け入れる以上、民主主義か、国民的自己決定のどちらかを犠牲にしなければならないのであり、日本は民主主義を擁護する結果、国民的自己決定を犠牲にしていると言える。中国は逆に、国民的自己決定を擁護する代わりに、民主主義を犠牲にしている。
ついでに言えば、資本主義が浸透する一方で、国力の衰退により生活が苦しくなるほど、ナショナリズムが高揚するというのは、アドルノが指摘しているし、更に、経済が潰滅的な打撃を受けると、民主主義の下でこそ、強いリーダーシップが待望され、全体主義の気運が高まる、というのも、エーリッヒ・フロムが指摘している。
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