ペスト
アルベール・カミュの「ペスト」も、ナチスに占領されたフランスでの体験を基にしている部分もある、と言われてるけど、ペストという病気も、(ナチスの)優生思想という、社会の病気を暗喩しているという説もあるみたいね。
ナチズムの時代は、社会的ダーウィニズム思想が今よりずっと強くて、それが優生思想を助長した面もあるとはいえ、現代でも、人間社会の一種の病気として、根絶されたわけではないだろう。
「ペスト」の中の一節で、少年が、十字架にかけられたような恰好で息絶えるシーンで、主人公が、聖職者に向かって、「あの子には罪はなかったはずです!」と叫ぶシーンがあるんだけど、見方によっては、無垢な少年ですら、ペスト=優生思想に汚染されてしまう、ということもできるのか?
しかし、少年が十字架にかけられた姿勢でもだえながら息絶える、という描写は、十字架=キリスト教の、矛盾を象徴しているようでもあり、逆にその矛盾の中にこそ、宗教(キリスト教)の(倒錯した)根源的力強さを秘めているようにも感じられる。
誰だったか忘れたけど、中世の哲学者か誰かで、「不合理ゆえに我信ず」なんて言った人もいた気がする。
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