2022年3月7日月曜日

シルクロード史への招待@茨城大学

ダニ・ロドリックは、ハイパー・グローバリゼーション、民主主義、国民的自己決定の3つは同時には達成できない、というトリレンマを提唱した。 日本の場合は、ハイパー・グローバリゼーションと民主主義のために国民的自己決定を犠牲にしている。なぜなら、ハイパー・グローバリゼーションとは、グローバルスタンダードを受け入れるということであり、金融のグローバルスタンダードを受け入れたことにより、サブプライムショックやコロナ危機など、グローバルなシステミックリスクにさらされ、それに対する政府・中央銀行が対応に迫られるのみならず、民主主義のもとで、打撃を受けた国民の利益を追求するために、財政が危機的な状況に陥り、ひいては財政運営のために外国の恣意的な影響にさらされる、つまり、国民的自己決定が阻害される。 中国の場合は、ハイパー・グローバリゼーションと国民的自己決定のために、民主主義を犠牲にしている。グローバルスタンダードを受け入れながら、国民的自己決定を保つには、言論の自由などの民主主義に不可欠な基本的人権を犠牲にしている。 以上のようなことは、国民国家を前提にしている。つまり、西欧政治理論を基礎にしている。このような体制は、歴史上ごく最近起こったことである。シルクロード史を学ぶことは、そのようなことに気づき、相対化するきっかけを与えてくれる。

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