2022年3月6日日曜日
グローバリゼーションと本来性という隠語
放送大学はじめてすぐの頃、千葉の本部で千葉大学の先生の「ハンガリー近代史」の面接授業を受講したけど、グローバリゼーションには一言も言及しなかったけど、自分の考えとしては、グローバリゼーションが迫る均質化に対抗してか、ハンガリーも、ナショナリズムが興隆して、もともとは騎馬民族だったことを、野蛮というより、むしろ、ワイルドだろぉ?と、アイデンティティーとしてアピールしたり、歴代の君主を讃える広場をつくったり、特にマーチャーシュ大王という人を賛美したりとかして、さらに国粋主義がひろまり、右翼政党が力を持ち始めて排外主義が蔓延したりとか。ちなみに、ハンガリー民族のもとはフン族という説は、確証されていないらしい。
本来性という隠語は、現代生活の疎外を否定するというよりはむしろ、この疎外のいっそう狡猾な現われにほかならないのである。(「アドルノ」岩波現代文庫 73ページ)
グローバリゼーションが後期資本主義における物象化という側面を持っているとすれば、グローバリゼーションによる均質化、画一化が進行するにつれ、反動として民族の本来性といった民族主義的、右翼的、排外主義的な傾向が現れるのは、日本に限ったことではないのかもしれない。
むしろ、アドルノの言明を素直に読めば、資本主義が高度に発展して、物象化が進み、疎外が深刻になるほど、本来性というものを追求するのは不可避の傾向だ、とさえ言える。
やはりアドルノは卓見だ。
エーリッヒ・フロムによれば、ドイツの中産階級が没落して、さらにプロテスタンティズムのマゾ的心性が、ナチズムのサド的メンタリティーと、サド=マゾ関係を生み出し、人々が「自由から逃走」し、ナチス政権に従順に従ったそうだが、日本も、中産階級が没落し、政治的メシアニズムを待望するようになれば、政治的危機が将来において登場する可能性は十分ある。
日本においては、新自由主義的政策により、アトム化した労働者が大量に出現し、景気が悪くなればすぐに生活が困難になるような労働者が増加するにつれ、エーリッヒ・フロムが指摘したような危機的な条件はそろいつつある。
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