2022年3月14日月曜日

知る権利

知る権利ってんは、単に芸能人や政治家のゴシップを週刊誌が垂れ流すのを正当化する理屈だと思っていたが、そんなレベルのもんじゃないね。今回のロシアによるウクライナ侵攻も、ロシア国内では、厳しく言論統制が敷かれて、市民は正確な情報にアクセスできないと言われている。正しい情報がなければ、発信のしようがない。つまり、知る権利が保障されていなければ、人権のなかでも代表格の、表現の自由が、著しく制限されているのと同じだ。しかし、これはロシアや中国に限った話ではない。日本のテレビ業界は、ロシア悪者一辺倒で、ひたすら対露強硬論を演出しているが、極東のサハリン経由のロシア産天然ガスの権益も、日本にとっては貴重なエネルギー源だということは、忘れがちだ。欧米の資本が対露制裁でサハリンの天然ガス権益から撤退するなか、日本は難しい対応を迫られている。一方では、サハリン経由の天然ガスは貴重な権益であるが、対露制裁の国際協調からの逸脱として欧米から非難を浴びる虞も否定できない。こういうジレンマこそ、真に現実的な政治的問題だと言える。単純に白黒で割り切れるケースばかりとは限らない。そういう情報を確実に受け取れてこそ、我々は政治の問題を判断できる。

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